山陰亭

原文解説口語訳

『菅家文草』03:203

寒早、十首                 寒は早し、十首
〈同用「人」「身」「貧」「頻」四字〉(4)  〈ともに「人」「身」「貧」「頻」の四字を用ふ〉(4)

何人寒気早  いづれの人にか 寒気早き
寒早夙孤人  寒は早し つとなる人
父母空聞耳  父母 空しく耳に聞く
調庸未免身  調庸てうよう まぬかれざる身
葛衣冬服薄  葛衣かつい  冬服薄く
疏食日資貧  疏食そし 日資につし 貧し
毎被風霜苦  風霜に苦しめらるるごと
思親夜夢頻  親を思ひ 夜に夢みることしきりなり

▼ 末尾へ▲ 先頭へ

口語訳

冬の寒さが早く訪れる、十首
〈皆「人」「身」「貧」「頻」の四字を(韻字として)用いる〉(4)

誰に 冬の寒さは早く訪れるのだろう
冬の寒さは早く訪れる 早くに両親を亡くした人に
父母については 空しく人づてに聞くばかり
(しかし)税からは 逃れられぬ身
葛で織った(夏の)衣は 冬服には薄く
粗末な食物は 日々の食料には貧しい
寒風や霜に苦しめられるたびに
親を想い 夜に夢を見ること頻繁である

▼ 末尾へ▲ 先頭へ


トップこのサイトについて3分で読む菅原道真みちざねっと・きっずFAQ読者アンケート
苦しい時の神頼み普通の人のための読書案内漢詩和歌快説講座作品一覧「研究文献目録」補遺

(C)1996-2024 Makiko TANIGUCHI. All rights reserved.
http://michiza.net/jcp/jcpkb203.shtml