山陰亭

原文解説口語訳

『菅家文草』03:206

寒早、十首                 寒は早し、十首
〈同用「人」「身」「貧」「頻」四字〉(7)  〈ともに「人」「身」「貧」「頻」の四字を用ふ〉(7)

何人寒気早  いづれの人にか 寒気早き
寒早賃船人  寒は早し 賃船ぢんせんの人
不計農商業  農商のわざを計らず
長為〓直身  長く〓直しうちよくせらるる身
立錐無地勢  きりを立てんとすれども 地勢ちせい
行棹在天貧  そをおこなへども 天貧てんひん
不屑風波険  風波のけはしきはせつならず
唯要受雇頻  ただもとむるのみ ひを受くることしきりならんと

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口語訳

冬の寒さが早く訪れる、十首
〈皆「人」「身」「貧」「頻」の四字を(韻字として)用いる〉(7)

誰に 冬の寒さは早く訪れるのだろう
冬の寒さは早く訪れる 雇われて船を出す人に
農業や商売という仕事(に従事すること)を考えることなく
いつも(人に)雇われる身
きりの(先を)立てようとしても (それだけの)土地もなく
さおを使っても 生まれつき貧しいままである
風や波が激しいのは気にならない
ただ 頻繁に雇ってくれるようにと願うばかりである

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