山陰亭

原文解説口語訳

『菅家文草』03:207

寒早、十首                 寒は早し、十首
〈同用「人」「身」「貧」「頻」四字〉(8)  〈ともに「人」「身」「貧」「頻」の四字を用ふ〉(8)

何人寒気早  いづれの人にか 寒気早き
寒早釣魚人  寒は早し 魚を釣る人
陸地無生産  陸地に 生産
孤舟独老身  孤舟に 独り老ゆる身
〓絲常恐絶  いとたはむれども 常に絶えんことを恐れ
投餌不支貧  ぐれども 貧を支へず
売欲充租税  売りて租税 そぜいてんと欲すれば
風天用意頻  風天 こころを用ゐることしきりなり

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口語訳

冬の寒さが早く訪れる、十首
〈皆「人」「身」「貧」「頻」の四字を(韻字として)用いる〉(8)

誰に 冬の寒さは早く訪れるのだろう
冬の寒さは早く訪れる 魚を釣る人に
陸地に 生業なりわいなく
一隻の舟に 独り年老いる身
釣り糸をたわめても いつも切れないかと恐れ
餌を投げて(魚を釣り上げて)も 貧しさの足しにはならない
(釣った魚を)売って税に充当しようとするので
風向きと天候に 気を遣うこと頻繁である

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