山陰亭

原文解説口語訳

『菅家文草』06:436

九日後朝、同賦「秋深」、応製  九日後朝、同じく「秋深し」をす、せいに応ず

年有一秋秋有三  年に一秋り 秋に三有り
就中季白意難堪  就中なかんづく 季白 きはく こころがた
雨寒遠感呉江水  雨寒く 遠く感ず 呉江 ごかうの水
風冷遥思楚嶺嵐  風ひややかにして はるかに思ふ 楚嶺 それいの嵐
浅分花凋蘭不恨  浅分せんぶん 花しぼめども らんうらまず
貞心露結竹猶含  貞心ていしん 露結べども 竹はなほ含む
穿雲明月応能照  雲を穿うがち 明月 く照らすべし
何更人前事事談  何ぞさらに人前にて 事々じじかたらん
〈当時依微諫、負小讒。  〈当時微諫 びかんりて、小讒せうざんを負ふ。
 応製之次、聊以形言。〉  応製のついでに、いささことあらはす。〉

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口語訳

重陽ちょうようの翌日の宴にて、皆で「秋が盛りである」を題に詩を作る、みことのりに応じて

一年に一度秋があり 秋には(はくちゅうという)三つ(の時期)がある
(中でも)とりわけ 季秋(晩秋)は (悲しい)気持ちが抑え切れない
(秋の)雨は寒々として 遠く心を動かす の川の流れに
(秋の)風は冷え冷えとして 遥かに想像を巡らす の山並みに吹く嵐に
花がしおれても 蘭はつまらぬ身の上をうらむことなく
露が下りても 依然として竹は節操正しい心を持っている
雲を突き抜け 明るい月は(地上を)照らすことができるだろう
今更他人の前で どうしてあれこれ説明しようか
〈今それとなくいさめたところ、中傷を受けた。
 みことのりに応じるのに合わせ、(心の内を)少しばかり詩にする。〉

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