山陰亭

原文解説口語訳

『菅家後集』498

山僧贈杖、有感題之  山僧さんそう杖を贈る、感りて題す

昔思霊寿助衰羸  昔は思へり 霊寿れいじゆ 衰羸すいるいを助くると
豈料樵翁古木枝  あに はからんや 樵翁せうおう 古木の枝
節目含将空送老  節目せつもく 含将つつみて 空しく老いを送る
刀痕削著半留皮  刀痕たうこん 削著けづりて なかば皮をとど
扶持無処遊花月  扶持ふぢすれど ところ し 花月くわげつに遊ぶに
抛棄有時倚竹籬  抛棄はうき すれど 時 り 竹籬ちくり
万一開眉何事在  万一 眉を開かば 何事なにごと
暫為馬被小児騎  しばらく馬とり 小児せうじ られん

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口語訳

山寺の僧侶から杖を贈られ、感じ入って題とする

昔は思っていた 長寿は やせ衰えた体を助けになると
どうして 想像するだろう 年取った木こりの(作る) 老木の杖(を手にすると)
固い節目は 包まれて いたずらに年月を過ごす
刃物の跡は 削られて 半分表皮を残す
(杖に)助けられても 花や月を愛でるあてもない
(杖を)投げ捨てても 竹の垣根に立て掛けるのは時宜にかなっている
万が一 (私が)穏やかな心境になったら (この杖は)どうなるのか
たちまち馬となり 子供にまたがられるだろう

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