山陰亭

小島憲之編『王朝漢詩選』岩波文庫 岩波書店 1987

 道真の漢詩文を見る場合、ほぼ全作品を収録した日本古典文学大系『菅家文草 菅家後集』(川口久雄校注 岩波書店 1961)を推すべきでしょうが、大系の中でも特に売れなかったという噂があるほどで、随分前に絶版になってしまいました。大きな図書館にはあるはずですが、購入となると古本屋でもなかなかありません。……店によっては格安で売ってますけどね(笑)。
 さて、この文庫本は平安時代以前の漢詩文を紹介する本です。道真は30首。全体量に比べれば少ないのですが、現代語訳で鑑賞される方が多いでしょうから、入門編としてはこれが無難な選択です。

 作品と人生をからめて読むなら嶋岡晨『菅原道真』大岡信『詩人・菅原道真』あたりですが、作品そのものを読むという観点から他の本を挙げてみます。
 菅野禮行・国金海二『漢文名作選5 日本漢文』(大修館書店 1984)。『菅家後集』を中心に7首しか収録していませんが、研究論文をベースに口語訳する姿勢は好感が持てます。
 小島憲之・山本登朗『日本漢詩人選集1 菅原道真』(研文出版 1998)。56首。『王朝漢詩選』と同じ調子で書かれていますが、こちらは句ごとに現代語訳と語注がつけられており、一般人が鑑賞目的で読むには不便です。価格設定も含め、漢詩愛好家向けの一冊。
 (注)71頁「春の尽きる三月三十日」は誤り。仁和3(887)年3月は小の月なので29日です。また122頁で斉世親王を道真の孫としますが、正しくは娘婿です。
  菅野禮行・徳田武校注訳『新編日本古典文学全集86 日本漢詩集』(小学館 2002)。作品数も多く、分量の関係でなかなか扱うことの出来ない古体詩も掲載しています。ただ、あくまでも古典文学の注釈書なので、ボリュームがあって内容がどこか素っ気ないきらいはあります。参考にはなりますが、文庫本のように持ち歩いて読めるものではないですね。

 また、道真の師にして義父の島田忠臣しまだのただおみについては、小島憲之監修『田氏家集注』全3巻(和泉書院 1991〜1994)が現代語訳を掲載しています。研究書なので図書館を選ぶかもしれませんが、参考までに。

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