山陰亭

邦光史郎「菅原道真」『歴史を創った人々1 古代・王朝篇』大阪書籍 1982

 朝日カルチャーセンターの講義録。行ってツッコミしたかった(笑)。「あのー、是善これよしさん(道真の父)中国行ってませんけど」って。伯父善主よしぬしが正解です。
 それはともかく、わずか15ページと短いながらも内容はよくつまっています。早い話が日本古典文学大系『菅家文草 菅家後集』の「解説」のダイジェスト。

 やっつけ仕事で道真の話をすると、往々にして傍観者的態度が目につくんですが、それがない。ネタ本がネタ本だからということもありますが、基本的に道真に共感してるんでしょう。「かしこくて繊細で本心を出さなくて真面目」と以前朧谷寿氏が言ってましたが、まさにその世界。
 高い社会的地位よりも読書詩作の余裕の方が彼にとって大切、という認識は表面的な理解だけでは出てこないんですよね。

 ──左遷されて良かった、って言う人がいますけど、さあどうだか。

 『小説日本通史』(祥伝社 1994)で、道真の描写が他の人の場合と少し違っていたので気になっていたのですが、これを読むとその原因がよく分かりました。とは言え、こちらの本は問題が多いので、お勧めはしませんが。

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