山陰亭

 菅原道真が「学問の神様」と呼ばれるのは、彼自身の秀才ぶりによるものです。
 11歳で漢詩を作り、18歳で文章生もんじょうしょう、23歳で文章得業生もんじょうとくごうしょう、26歳で方略試ほうりゃくし及第、33歳で文章博士もんじょうはかせ
 要するに東大に現役合格して学位取って教授になったってことです。

 漢詩文集に『菅家文草かんかぶんそう』12巻と『菅家後集かんかこうしゅう』1巻があり、漢詩だけでもその数500首以上。即吟も得意で1時間に七言絶句10首なんて芸当もやってのけています。
 歴史書『日本三代実録』の編纂メンバーで、『日本書紀』から『日本三代実録』までの記事をテーマ別に分類した『類聚国史るいじゅうこくし』の編者でもあります。
 詩文に長けているので、平安時代中期には既に「文道の祖、詩境の主」「文道の大祖、風月の本主」と呼ばれたのもあながち嘘ではありません。

北野天満宮楼門の額(6KB)
北野天満宮楼門の額

 さらには「中国語が堪能だったんじゃないか」という話もあります。読み書きはともかく、話す聞くはどうかと思ってたんですが、調べているうちに驚くべき事実が発覚。漢詩には平仄ひょうそくというものがあり、漢字一字一字の音声(品詞によって変わることも)を把握しないと規則に則った詩が作れないのですが、彼の作品には内容どころか平仄まで対になっている対句がしばしば見られるのです。中には最初から最後まですべて対、なんて力作もありました。

 元の歴史書は改元前の記事でも新年号で表記するのを、『類聚国史』では新旧の年号を厳密に区別して書いているという指摘(坂本太郎『六国史』)も含め、道真にはどこか完璧主義なところがあります。学者としては間違いなく一流だなと欲目抜きで思わされる日々。

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