山陰亭

天満宮(4KB)
天満宮

所在地:福岡市博多区上川端町
 交通:福岡市営地下鉄・祇園駅下車

飾り山笠で七転八倒

飾り山笠で七転八倒

(傾向)尊敬か、敬愛か、それとも単なるオモチャなのか。
(対策)受け身の練習をしましょう。

 博多の夏を代表すると断言しても疑う余地のない博多祇園山笠。これは櫛田神社のお祭りなのですが、末社がずらっと並んだ「長屋」が境内にあります。その左から2番目が天神社。
 人の動きを観察してみると、どうやら目的別に使い分けしている(まるで専門店街……)ようです。しかしそれをよそに、「天神さんどれだろ〜?」と背後から凝視する姿は、冷静に考えてみると結構アヤシイ。

  ところで、祭の期間中、担いで走る山笠とは別に、「飾り山笠」と称して巨大なオブジェが街の随所に立ちます。基本的には歴史上の戦いがモチーフになりますが、突発的に道真ネタが出てくるので気が抜けません。
 (注:これだけのために福岡に飛ぶとただのアホなので、いちおう自制してネットで見てます。)

 まず2002年の「梅花薫風千百年」。図案が公表された時点ですでに捧腹絶倒。
 黒い牛に黒い束帯姿の道真さんが座り、その上には紅葉(手向山?)。上方では承久本「北野天神縁起」から抜け出たマンガチックな赤い雷神が雷を落とし、地味な衣装で派手にすっ転ぶ時平。彼の足元に立つのは、ヨロイ姿で刀を振り上げる老人(元ネタで刀抜いてたの、時平ですやん)。背後に流れるのは、天拝山に登る前に身を清めてた(って事になっている)紫藤しとう の滝、かなぁ……。これは自信ない。てっぺんには木鷽だの絵馬だの小物類が突き刺さる。こんなのが吹き抜けの空間をぶち抜いて立っていたという次第です。
 ちなみに裏側では 福岡ダイエーホークス(当時)とアビスパ福岡の選手達が踊ってました。時空超越しまくり。ついでにこの年の他の飾り山のラインナップを見ると、星のカービィ(by任天堂)・名探偵コナン・ワンピース、果てはドラえもん(!)……。目が点になる、とはまさにこのことなんじゃないでしょうか。

 2006年は「菅原伝授手習鑑」と「天神菅公一代記」。
 写真がないので手元のメモを見ると、前者が車引くるまびき(吉田神社参詣を妨害しようと梅王丸と桜丸が殴り込みを掛けたら、時平しへい の威圧感に負けちゃった、ってアレです)で、後者が、和歌を詠み、船に乗り、綱の上に座り、天拝山で祈り、雲の上に立つ、道真さん大量発生の巻! だった模様。

 2008年は「天神記車引」と「紅梅白梅天満宮」。
 前者は近松門左衛門の「天神記」ではなく「菅原伝授手習鑑」の車引ふたたびです。歌舞伎版のオーソドックスな作りでした。
 後者は「隈麿と紅姫を連れて立つ道真」「幣を振り上げて天拝山で祈る道真」「恩賜の御衣を正面に掲げ持つ道真」の福岡仕様3点セット。
 残る一人は「綱を巻いて道真の円座を作る漁師」。綱敷天神の話をしたかったようです。

 気がつけば隔年現象で発生するこの展開。 
 スゴイと言うか素晴らしいと言うか。こんな展開を予想してたら「こっちに葬ってくれ」とは言わなかったかも(苦笑)。

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