山陰亭

菅原神社(6KB)
菅原神社

所在地:滋賀県野洲やす市永原
 交通:近江鉄道バス・江部えべバス停下車

郷土の隠れた有名人大護摩大祭と火渡り神事味のある人生

郷土の隠れた有名人

(傾向)駅から遠いのが難点。
(対策)いつでもどこでもダイヤをチェック。

 JR琵琶湖線の野洲駅は、ありがたいことに新快速が停車します。新快速には湖西線へ抜けるものもありますが、山科で乗り換えても結局同じ便なので、待ってでも最初から米原・長浜行に乗ったほうが賢明です。1時間に2本あります。
 改札を出て左折し、階段を降りると駅北口に出ます。ここから木部きべ循環線のバスに乗り、約12分で江部に到着。1時間に1〜2本が基本ですが、帰りは1時間待ちということもありますので、南口の左側にある観光案内所でレンタサイクルを借りるのも一案です。大津能登川長浜線を米原方面へ走り、江部のガソリンスタンドで左折すると、2つめのバス停が江部です。距離にして約3.5km。

 江部のバス停から先に進むと、道しるべが出ています。指示に従い左に行くと、民家の真横を何度も折れ曲がる道に入り、折れ曲がりが終わると神社です。2つ手前の上町バス停からも、近くの横断歩道を渡って直進すれば神社の正面に出ます。運賃はこちらの方が安いようですね。

 江部交差点のガソリンスタンドの看板になぜか平安美人。平清盛が寵愛した白拍子しらびょうし祇王ぎおう 祇女ぎじょ 姉妹が江部出身だからということのようですが、従業員が描いたにしてはかわいすぎます。なぜか女房装束なのですが。

 神社に到着し、門をくぐると、すぐ西側に十一面観音が祀られています。言うまでもなく天神の本地仏。長栄寺という天台宗の寺院が明治時代の神仏分離令で神社になったという事情もあり、現在も神仏習合の要素を色濃く残しています。
 社殿は一番奥の少し高いところにあり、正面には、上畳に座す束帯天神を描いた板絵が掲げられています。

 別名を永原天神といい、室町時代、連歌が盛んに行われていたそうですが、北村季吟きたむらきぎんの出身地でもあるとかで、「社頭の梅を吟ず」と題し、「神がきや ここも北野の名にし負はば 栄ふる梅の影もかはらじ」という歌を刻んだ石碑が、梅の木を背中にして建てられていました。

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大護摩大祭と火渡り神事

(傾向)白きもの、雪かと見れば灰なめり。
(対策)場所取りは風を読んでから。

 神社なのに毎年2月25日に護摩を焚く、と聞いていたので、見てきました。事前に確認したところ、雨天でも行うとのこと。
 地元の人ばかりだと思っていたのですが、マイクを持った司会者や進行表を手にしたスタッフまでいて、観光客をかなり意識しているようです。ドラム缶では暖房用に廃材が燃えています。テレビ局はもちろん、カメラを持った中高年の姿が目立ち、護摩壇の向こう正面はにわかカメラマンのひな壇と化していました。しかし大きなカバン背負ってうろうろするのはいただけません。地元の人は子供連れて来ますから、最前列で座って撮影する人を見習わないと。で、座って見物したのですが、これも行儀悪いですね。

 午前10時開始。立てかけている最中に護摩木が倒れるというハプニングがありましたが、何事もなかったようにフォローし、火のついた太い竹を下に差し込むと、いよいよ点火。内側から燃え始め、白い煙が立ち上ります。この日はあいにく風が強く、煙が横に流れて見物客がひどくいぶされておりました。まず風向きを読んで陣取るのが良さそうです。
 人間をスモークしながら祝詞のりと 奏上が続きます。宮司さんがワイヤレスマイクを装着しているので音声は聞こえるのですが、漢字変換に手間取り、あるいは変換さえ出来ず、情けなや、内容まで理解できたのは2割もありませんでした(泣)。

大護摩大祭(8KB)
大護摩大祭

 ふと空を見上げれば、白いものが降り始めました。その風情に見とれていたのも束の間、降ってきたのは雪ではなく灰でした。冬でも帽子は必需品です。
 祝詞の合間に一度だけ、般若心経が入ります。合掌して一緒に唱えましたが、あちこち記憶から抜け落ちていたようで、経本持ってくるべきだったかと反省することしきり。

 ハッピ姿の氏子さんが、外側に掛かっている葉を長い棒で落としたり、水をかけて火の勢いを調整したりする一方、神職が棒状の護摩木を何本もまとめて火の中に投げ入れます。せっかく書いた物をすぐ燃やしてしまうなんて、環境保護がうたわれる昨今、宗教行事でなければ許されないだろうと思う目の前で、「平治物語絵巻」によく似た炎がメラメラと丸太にまとわりついていました。

 壇ごと一通り燃やした後、燃え残った炭を平らにならし、火渡り神事の準備が進められます。袴姿に着替えた宮司さんが、太いハチマキを締め、炭の木片を四方に置いたり、氏子さんが布を巻いた木材を並べたり。
 司会によれば、これが「火伏せの行」らしいのですが、説明不足も手伝って、どういう手順かよく分からないまま眺めるばかり。

 宮司さんが大きな金色の幣を掲げて再登場。火の状態を見るように、しばらく壇の前で立ち止まった後、素足で炭の上を渡ると、シャッターが一斉に切られました。続けて神職数名が渡ります。すると観客が突然靴やソックスを脱ぎ始めました。手には大きな和紙。どうやら火渡り神事に参加する人々のようです。
 参加者が整理番号順に並び、壇の前に立つと、タイミングを見計らって宮司さんが腰を軽く叩くので、前へ踏み出します。後はかかとに重心を置いて一気に渡り切るのですが、親子で参加していたり、思わず小走りになる人もいるのは、微笑ましい光景です。
 仕上げは手にした和紙の上に両足を揃えて乗り、足の裏についた炭をスタンプ。これで足型守が完成。居間や寝室の壁に貼り、健康のお守りにします。

 宮司さんが「遊びや観光気分で参加しないで下さい」と繰り返し発言したのに刺激され、参加する気になったものの、受け付けはすでに済んだ後。足痛めた状態で無理することもないのですが、空回りした気分だけが残ります。お金払って灼熱の上を歩こうなんて、余程の物好きでも遊びではやりませんよね。
 9時に受付を開始し、先着130名で終了します。参加料は1500円。数年前は1000円でしたが、いつの間にか値上げされてました。

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味のある人生

(傾向)筆者が個人の容貌に言及するのは、極めて珍しい現象。
(対策)男性は人生経験が顔に反映しやすいので、ちょっとうらやましい。

 普通の観光客は護摩や火渡りばかり見ていたと思いますが、それとは別に注目なのがここの宮司さん。
 後ろの人がタオルで汗を拭っているのをよそに、護摩壇の正面で微動だにせず祝詞を読み続けているうちは何とも思わなかったのですが、幣を持って再登場した時、顔を初めて見てつぶやきました。束帯よりこっちの方が断然格好いい、と。
 髭を生やしたマイスター風の方で、合気道や居合が似合うだろうとしみじみ感じ入りました。実際、日頃から「道」のつくものに励んで精神を鍛えていると思いますよ。石碑の字を見ても、強弱のリズムがついていて味がありましたしね。

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