山陰亭

弥彦神社(6KB)
弥彦《いやひこ》神社

所在地:北海道札幌市中央区中島公園
 交通:札幌市営地下鉄南北線・幌平橋駅下車

好奇心、雪に阻まれる

好奇心、雪に阻まれる

(傾向)北国の雪はいつになっても柔らかい。
(対策)散策は季節を選ぶべし。

 駅の1番出口を出て右手の豊水通を100mほど行った先にあります。主要施設が中島公園の北半分に点在するのに対し、南端附近に位置する神社です。社名は「伊夜日子」とも表記しますが、タウンページでは両方の名前で二重に掲載されていました。

 1912年、新潟から移住した人々が弥彦神社(新潟県西蒲原郡弥彦 やひこ村)を勧請したのが最初で、天神を合祀したのはつい最近の1970年。弥彦神社は越後一の宮で、祭神は天香山命あまのかぐやまのみことです。この神様、『日本書紀』神代巻によれば、天照大神のひ孫で別名を高倉下命たかくらじのみことと言い、神武天皇に霊剣を献上したのだとか。その後、地元民に漁業を教えたので、越後の文化英雄と言うべき神様です。
 天神様の方は太宰府天満宮から勧請しただけに、キャッチフレーズは「札幌の太宰府天満宮」です。東都の宰府亀戸天神に対し、北都の宰府なのですね。ならば南は? そう考えてすぐ思い到ったのが、知る人ぞ知るハワイの分社。同じ海の向こうでも越えるのは大平洋です。知人は明るく「行ってみたら?」と言い放ちましたが、冗談にしてもキツ過ぎます。

巨大鳥居(5KB)
巨大鳥居

 道路に面して四つ足の巨大な鳥居が立っています。この真っ赤な鳥居、正面から見た図は絵馬に使われています。撮影のため道路を渡ろうとして周囲を見渡すと、横断歩道は遥か彼方。土地柄どうしても道路を横断する気になれず、大回りする羽目に。

 参道周辺はきちんと除雪されており、石畳なので濡れる心配もありません。石の鳥居をくぐり、階段を登ると社殿があります。階段の両脇に雪が山型に積み上げられていました。上賀茂神社(京都市北区)の立砂のようで格好いいなあと思い、側面から写真を撮ってみると、円錐というより単にうず高いだけの山で、あまり見栄えのするものではありませんでした。心意気は買います。

 参拝を終え、道路から何気なく振り返った時、社殿はとかく奥行きのあるつくりになっていることに気がつきました。さっき拝んだ場所と実際に神様が祭られている場所が余りに離れているなら、裏手も見たいと思うのが人情というもの。そこで突入作戦を敢行しました。北海道は脇へそれるとすぐ厚みのある雪に突き当たるので、参道を単純往復するだけで済ませていたのですが、折角見えているものを見ないで帰るのは惜しいと思ったのです。

斜め前方から見た社殿(7KB)
斜め前方から見た社殿

 最初は適当に雪を踏み付けていましたが、それでは足が沈むので、セオリーに従って人の足跡の上を歩くことに。いくら柔らかい雪でも踏み固められた部分なら大丈夫と思いきや、これでも容赦なく沈みます。丁寧に足跡を合わせる作業が次第に面倒になり、再び適当に足を運び始めた途端、ズボッという楽しくない感触が。下を見ると、雪を踏み抜き、くるぶしまで一気に埋没していました。
 境内へはまだまだ距離がある上、たどり着いたところで同じ距離をまた歩くのは困難極まります。さすがに作戦続行を断念し、跳ねるようにして今来た道を戻り、雪上を脱出しました。靴の中まで雪が侵入するので、ブーツなしでは無理な行程だったようです。

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