山陰亭

大阪天満宮(7KB)
大阪天満宮

所在地:大阪市北区天神橋
 交通:大阪市営地下鉄・南森町みなみもりまち駅下車
    JR東西線・大阪天満宮駅下車

天満の天神さんいかつい博多人形
天神祭・船渡御見物術駅名はややこしい天神橋筋商店街

天満の天神さん

(傾向)他の神社が天神社に転化するのはよくあること。
(対策)境内の細部にどれだけ気がつくか勝負。

 大阪の人が言うところの「天満てんま の天神さん」です。天満宮から天満の名がついたのに、その地名で区別するというのも何だか変な話ですが、慣れです。
 地下鉄とJRは名前こそ異なるものの、場所は同じ。JRのホームには梅があしらわれています。3番出口を出ると、今度は本物の梅が街路樹として植えられています。すぐ左手が天神橋筋商店街。商店街を南下し、少し歩くと左手にコインパーキングがありますので、再び左折。天満宮の南側に到着します。中央の表門から入る場合は門の真下で一度止まって上を見ましょう。干支の方位板があります。特に西の方位に注目。酉=鶏ではなく鳳凰なんです。大阪の西は太宰府ですからね。

方位板(左)と酉の拡大図(右)(13KB)
方位板(左)と酉の拡大図(右)

 境内に大将軍社がありますが、これが地主神です。飛鳥時代に長柄豊崎宮が造営された際に祭られたと言いますから、道真の参拝をきっかけに天満宮へ変わる以前、すでに3世紀の歴史があったわけです。
 そして吉備社。奈良時代、学者から右大臣になった吉備真備きびのまきび を祭っているとされますが、反乱(というか政治疑獄)を背景に持つ他の御霊と違って憤死したとは言い難い。むしろ作家の永井路子氏が言うように、長屋王の変(729年)で夫と共に自殺した吉備内親王のことじゃないかと思ったりもします。

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いかつい博多人形

(傾向)いくら建前を述べても第一印象は影響する。
(対策)本当はもっといい男でありますように、っと。

 本殿の左、休憩所の近くに、コンクリートの建物への入口があります。ここでは道真の生涯が博多人形で展示されており、日中なら自由に見学できます。太宰府天満宮から譲渡されたものとかで、最後のシーンは「天神祭」の題がついていても明らかに太宰府です。
 恩賜御衣おんしのぎょいのシーンで、非公式な宴とはいえ天皇に近侍している人物が狩衣姿(道真は完全正装)なのも気になるのですが、全体的に目立つのが道真のひげ。濃くなったり薄くなったり……。しかも顔もずっと眉根を寄せたいかつい表情です。同じ「北野天神画像」の翻案でも『小学館版学習まんが少年少女日本の歴史』第4巻のように、温和な表情がないのがきつい。関心を持ってもらうには厳しいかな。

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天神祭・船渡御見物術

(傾向)大阪じめを知らないと場がしらける。
(対策)見学するなら予習とプランニング。

 7月24日〜25日の天神祭。すっかり見世物と化していますが、最初に本来の意味をきちんと押さえておきましょう。
 川辺から鉾を流すと、やがてどこかに漂着します。そこを旅所として御神体を運び、氏地を回って宮に戻ります。普通は陸を巡行するものですが、水上でもやってしまうのがこの祭の特色でしょう。
 さすがに毎年変わるのは不便だったのか、江戸前期に旅所が固定されるようになりました。そこで旅所近辺の住民が船を仕立てて迎えたのが、船渡御ふなとぎょの始まりです。
 ところが戦後になって大阪が地盤沈下するにつれ、橋まで沈下し、その下を船で通ることができなくなってしまいました。中之島図書館の近くにある水晶橋は特に低く、堂島川どうじまがわでの船渡御は昔話だと痛感します。結果、流れとは逆方向になるのですが、現在は大川おおかわを北上するコースを取っています。
(注:淀川の支流が大川で、この川がさらに中之島を挟んで北の堂島川と南の土佐堀とさぼり川に分かれます。そして合流すると安治あじ川となり、大阪湾に注ぎます。)

 25日は16時から陸渡御りくとぎょ、18時から船渡御と巡行が続きますが、あわせて見るのは体力的に厳しいので、メインの船渡御に話を絞り、ガイドブックには載ってない内容を書いておきます。船を分類しておくと理解が容易になるので、まずはそこから。

奉安船ほうあんせん

 御羽車おはぐるま奉安船・御鳳輦ごほうれん奉安船・鳳神輿おおとりみこし奉安船・玉神輿奉安船の4つ。竹を立てて白い布を張っていますので、ひと目で区別がつきます。神事の船なので、見つけても騒がないようにしましょう。

御鳳輦奉安船(7KB)
御鳳輦奉安船

供奉船ぐぶせん

 奉安船をサポートする格好で上流を目指します。筆頭は陸渡御で大活躍した催太鼓もよおしだいこ船。大勢の人でイナバ物置状態になっている船上でも、太鼓を叩き続けます。

催太鼓船(8KB)
催太鼓船 ※中央奥が催太鼓

■奉納船

 落語船。供奉船に同行します。非常にノリが良いので、アピールすればちゃんと反応してくれます。文楽船・歌舞伎船もありましたが、2000年を最後に撤退しました。三番叟さんばそう人形の大阪じめ、好きだったんですけどね。

奉拝船ほうはいせん

 飛翔橋ひしょうばし付近から天満橋てんまばし方向へ右岸を南下します。スポンサーの船が中心です。帝国ホテルの船も出てましたから、宿泊とのセットプランを狙うのが正攻法かもしれません。市民船は7月上旬に参加者を公募しますが、水上バスでの無料見学です。

列外船れつがいせん

 順番を守らず自由に移動できます。人力で漕ぐどんどこ船は、昼間は堂島川・道頓堀川あたりで祭の開催を触れ回っていました。人形講船は皆で幟を振りながら高速で行ったり来たりします。総奉行船そうぶぎょうせんはモーターボートなので裏方のはずですが、総奉行は直垂ひたたれ姿です。ちなみに、列外船ではありませんが大阪府警が警備用に出している船もモーターボートです。救命胴衣を着けた犬が同乗しているのがキュート。

人形講船(9KB)
人形講船

■舞台船

 能船・神楽船など。固定されているので見物はかなり場所を選びます。篝船も固定されていますが、照明代わりにかがり火を燃やし続けるための船なので、間違いなく灼熱地獄です。

 船の役割を押さえたところで、陸上から見物するポイントを考えてみます。
 船渡御が始まる前にJR桜ノ宮駅で下車し、都島橋みやこじまばし・飛翔橋あたりを目指します。結構歩きますが、上流ほど場所取りが容易になります。奉安船は左岸を通りますので、左側に陣取ります。

 神様の上に人が立つなんて畏れ多いという理由から、橋の中央付近には目印としてベニヤ板が立てられ、渡御の際は通行止めになります。つまりこの下を船が通りますから、場所選びの目印に。

橋の中央部に立てられた板(6KB)
橋の中央部に立てられた板

 もしくは右岸源八橋げんぱちばし近辺。船は見にくいものの、花火が帝国ホテルの窓に反射する様子は一見の価値があります。

 岸や橋の上にいると、船から「大阪じめよろしくお願いしまーす」と声がかかります。芸人さんのお誘いには素直に応じましょう。船と陸と、息を合わせて「打ちまーしょ(パン、パン)、もひとつセー(パン、パン)、いおうて三度!(パパン、パン)」と手を叩きます。これが大阪じめ。間合いが取りづらいのですが、何度もやっているうちに慣れてきます。
 船同士だと、乗っている芸人同士が顔見知りかどうかで声がかかるか決まる気がしますが、陸だとそういう心配はいりません。大阪じめを知らないことの方がよっぽど不安です。模範演技の動画、どこかのサイトに掲載してたら助かるんですが。
 そうそう、西日対策と帰りの切符をお忘れなく。かなり混雑しますよ。

 ちなみに生で見られない人のために書きますと、毎年テレビ大阪とNHK大阪が中継しています。テレビ大阪は生放送ですが、舞台裏を取材したVTRの完成度が高かったり、芸人が騒々しかったり、年によって出来にムラがあります。祭りの記録と考えればNHKの方が上ですね。ただし深夜の録画中継です。
 あと印象に残るのは、台風接近で打ち上げ花火が中止になり、テレビ大阪の特設スタジオの雰囲気が異様に辛気くさかった年(1997年)のことでしょうか。盛り上がらないテレビ番組ほど悲惨なものはないのです。

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駅名はややこしい

(傾向)これがたいした問題にならなかったのは何故?
(対策)地図ですよ、地図。

 JR東西線の開通で問題は解決しましたが、それまではどの路線を使えばよいか、非常に分かりにくいものでした。まぎらわしい駅名を列挙しますと、

 これらの駅からですと(予想と期待に反して)結構歩かされます。天神橋筋二丁目の天満宮まで、「天満(=天神橋筋四丁目)からはよそ見すればどうにか。天満橋(中央区=川の向こう側)からは気合い次第。天六からはキツい(丸々2駅分)」。つまり最寄り駅はこのどれでもなくて、地下鉄なら天満橋の次、南森町駅です。

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天神橋筋商店街

(傾向)とにかく、長い。
(対策)間違っても全区間歩こうと思わないこと。

人形つきアーケード(5KB)
人形つきアーケード

 大阪では南北の通りを「すじ」と呼びますが、天満宮の南にある天神橋から北に延びるのが天神橋筋です。江戸時代、天満に青物市場が置かれた関係で、商店街として発展しました。
 全長約2.6kmと日本一長いこの商店街、混み具合も雰囲気もほどほどでいいです。値段は安いし、行列のできる店はあるし、食い倒れの縮図のようなところがあり、呼び込みがないので散策に向いています。空きテナントをどうするか、いかに客を呼び込んで活性化するか、などいたるところの商店街が抱える問題点もよく分かります。最近はチェーン店が増えているように感じるのが気掛かりです。
 ただアーケードの飾り付けがすごくて、垂れ幕・巨大堤灯・鳥居・人形と続き、頭上が心配になったことも度々。

 せっかくですから、思いつくままいくつか店を挙げてみましょう。ただし空腹時に読むと辛いですよ。
 天神橋筋三丁目。和菓子の薫々堂。大福は季節によって具が変わります。
 天神橋筋二丁目。中村屋のコロッケ。1個60円なのでおやつに最適ですが、夕方は行列覚悟で。天満宮の東には絵馬型の「合格パン」を作っているマルイチ菓舗があります。その向かいは「アロエにぎり」や「梅バッテラ」なんて珍メニューもありますが、蛸・鱧・梅肉などを入れた巻き寿司「天神巻」で有名な福すし。宝くじ片手に食べたら当たった(テレビ大阪の番組で本当に10万円当ててました)とか、受験がうまくいったとか、評判のいい縁起物です。
 そして天神橋筋五丁目。道が複雑な割に有名な店が多いのでガイドブックは欠かせません。ミヤコ屋というスーパーの角を東に折れると寿司屋が3軒も揃っていますが、どの店も値段が回転寿司並みに安く、お客さんが外で椅子に腰掛けて順番待ちしてました。そこから2つ目の角を北に進むと韓国家庭料理の玉一。曲がらずに直進すれば焼肉の珍三カルビ。反対にミヤコ屋から西に行けば、蛸焼きのうまい屋、ネパール料理のカンティプール、琉球料理の梯梧屋があり、すっかり国籍不問の感を呈しています。天満駅前にはマクドナルドもありますしね(笑)。

 ……まあこれくらいだろうと思っていたのですが、調べてみるとまだまだありました。飲食店が、じゃないですよ。味に対する評価の高い店が、です。天五の萬作(つくねで有名な焼き鳥屋)、天満卸売市場(天五の東)にあるゴメンネJIRO(洋食)、天四の天満菊水(お好み焼き)、天三の四川辣麺(坦々麺)・光華(香港・広東・ベトナム料理)、天二の亀の池浪速(鰻)・グリル樹林亭(洋食)。ここまでくると、駅と天満宮の往復ばかりしてないで、ちゃんと食事して帰ろうと思いますね。「梅田からでも足を延ばすべき」と言われるだけのことはあります。
 ただしメーンストリートを外れた途端に迷子になるエリアなので、店鋪の場所はガイドブックできちんと確認しておきましょう。

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