山陰亭

三刀屋天満宮(7KB)
三刀屋天満宮

所在地:島根県雲南うんなん三刀屋みとや
 交通:雲南市民バス・三刀屋バスセンター下車

出雲三天神にとどめさす

出雲三天神にとどめさす

(傾向)集落に入るまでが大変です。
(対策)根性のある人限定か、ここまでくると……。

 いわゆる「三天神」。東京は湯島天満宮亀戸天神社谷保天満宮。名古屋は桜天神社山田天満宮上野天満宮。京都は……、多過ぎて誰もコメントしていないけれど、さしずめ北野天満宮吉祥院天満宮菅大臣神社あたりでしょうか。そして出雲は白潟天満宮菅原天満宮・三刀屋天満宮ということになっております。

 三刀屋天満宮はもともと1kmほど離れたところにあった三刀屋城の敷地内に祀られていました。その前段階として、「遠祖野見宿祢のみのすくね の墓に詣でるため、大宰府への路次に道真が立ち寄ったので、地元民が遺徳を偲んで祀り……」うんぬんという話がくっついていますが、ここは出雲国。山陽道からは迂回どころではありません。

 JR山陰本線の出雲市駅前から、本数は少ないし料金も割高ながら神社の手前1kmほどまでバスが出ています。これが一番早く行けるのですが、知らないとどうなるか。JR木次 きすき線・木次駅から川と山を越えて3km歩くという暴挙に出てしまいました。
 「木次といえば木次乳業だよなぁ、どんな所なんだろ」などと思いながら、始発駅の宍道しんじ 駅に行き、時刻表を見ると、見事に真っ白。2時間に1本程度しかないんです。特急と在来線の本数が同じというのは見たことあるけど、何じゃこりゃ、想像していた以上に本数ないなー(笑)。えーと、次は1時間後。しかし山陰本線も40分待ちか(アレ?)。駅の窓口に備え付けてあった時刻表をさんざんひっくり返し、夕方には出雲市駅に戻れることを確認してからホームに向かいました。

 ようやく来たのは備後落合(←広島県北部の駅らしい)行きのプリティーなワンマン1両編成。乗客は、地元のおばちゃんと若い男性。手には1眼レフのデジタルカメラ、肩に下げるは巨大なカバン、……んん、スーツまで持参? こんなローカル路線に乗るのは地元民でなければ「鉄」なヒトと相場が決まっていますが、そんな機動性を著しく損なう物を抱えてどうするのやら。「出張ついでに趣味に走っちゃったサラリーマン」と見立てましたが、私用で1泊追加って認めてもらえるものなんでしょうか?
 ダイヤ編成もさることながら、何より驚いたのは、線路の上に架線がないこと。お恥ずかしながら、パンタグラフから電気を供給して走る電車しか知らないので、ディーゼルカーは貨物列車かお座敷列車しかないと思っていたんです。自家発電で走る「電車」か……。道理で足元からブーンと重低音系の振動が伝わってくるわけです。

木次線のディーゼルカー(9KB)
木次線のディーゼルカー

 「窓から頭を出せば、木の枝にぶつかるのでは?」と思えるほど緑なす谷あいを縫い、急斜面のギリギリ脇を健気に走り、30分ほどで木次駅に到着。宍道行きとの退避待ちでしばらく停車している間、「鉄」なお兄さんはホームに降り、いそいそとカメラを向けておりました。あの調子で終点まで行っちゃうのかなぁ……。武運を祈る(笑)。

斐伊川にかかる橋(9KB)
斐伊川にかかる橋

 筆者は駅前の国道314号線から斐伊ひい川の土手に上がり、川べりをウォーキング。
 普通にちゃんとした橋を渡れば良いのですが、欄干もへったくれもない、自転車のハンドル操作を誤れば即座に川面へドボン! という、バラエティー番組のセットに登場しそうなラフな橋を発見したので、そこを渡ることに。吊り橋に比べれば格段に安定性はあるものの、ほどほどにスリルを味わえます。

 川を渡って国道271号線に入ると、ちょっとした山越えルートになります。郊外も郊外なので、普通こんなところ歩かないよなー、道間違えていたら遭難モノだぞとか心配になりながら、ようやく平成記念病院までたどりつき、眼下に集落を見下ろせる所まで来れば、どうにか一安心。
 国道54号線の手前にある通りを堀に沿ってずーっと歩くと、三刀屋高校があり、さらにその随分先にある山陰合同銀行の三刀屋支店の先に「天満宮」と彫られた石柱がありますので、ここを左折します。後は妙に長ーい上り坂。最後は石段をえっちらおっちら登る、お決まりのパターン。さっき坂道を昇り降りしたばかりなのに、疲れる。

 人気もないのになぜか正面が開いていたので、畳敷きの社殿内部に上がり込んでお参りしてきました。「天満宮」とか「天満大自在天神」とか彫った額が掲げられているだけでも充分濃厚なのに、出雲の定番、重量級の太いしめ縄の上にこんな面白い彫刻が。

しめ縄上部の彫刻(10KB)
しめ縄上部の彫刻

 普通は眼の届かない所に梅の木を持ってくるとは、なかなか凝ったことしてますね。

 絵馬は朝日と紅白梅を描いたもの。社名は印刷ではなく朱印だったので、既製品かもしれません。実際、見たことはないとは断言できないデザインです。

 ちなみに、帰りは発車間際のバスに偶然飛び乗れた(行き先表示を見る時間もなかったので、運転手に聞いた)ので、二度目の山越えはありませんでした。ラッキー。道真さんありがとね。

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