家よりとをき所にまかる時、前栽の桜の花に結《ゆ》ひつけ侍《はべり》ける 菅原右大臣
さくら花主《ぬし》をわすれぬ物ならば 吹き来《こ》む風に事《こと》づてはせよ
家より遠い所に下る時、庭先の桜の花に結び付けた歌 菅原右大臣
桜花よ、おまえが主人を忘れないものであるなら 東から吹いてくる春風に私への言葉を託しておくれ