早秋夜詠 早秋の夜に詠ず
初涼計会客愁添
不覚衣衿毎夜霑 覚えず
五十年前心未嬾 五十年前 心
二千石外口猶拑
家書久絶吟詩咽
世路多疑託夢占
莫道此間無得意
清風朗月入蘆簾
初秋の夜に詩を詠む
初秋の冷ややかさが (胸中を)見計らって旅の寂しさを増す
気付かないうちに
五十歳を前にして 心は煩わしい気分にはならない
国司の仕事以外のことには それでも口を閉ざす
自宅からの便りはすっかり絶え 詩を詠じて嗚咽し
人生の旅路には疑わしいことが多く 夢にかこつけて占う
言わないで欲しい この地に心にかなうことはないなどと
(詩の題材となる)清らかな風や明るい月が