近曾、有自京城至州者。
誦書一絶云、 一絶を書き
「是越州巨刺史 「
秋夜夢菅讃州之詞也」。 秋夜に
予、握筆而写。
写竟興作、聊製一篇、 写し
以慰悲感。
北山南海隔皇城 北山南海
煙水蒙籠夢裏情
時節暗逢流涙気 時節
州名自有断腸声
莫因道遠称孤立 道遠きに
嫌被人知会五更 人に知られて
若使神交同面拝
不辞夜夜冒寒行 辞さず
最近、都から讃岐に来た人がいた。
彼は絶句一首を書き詠じてこう言った。
「これは
秋の夜に讃岐守菅原道真殿を夢に見て詠んだ詩です」
(そこで)私は、筆を手に(その詩を書き)写した。
写し終えると感興が湧いたので、詩一篇を作り、
悲しい気持ちを静めた。
(越前国のある)
(秋という)時節柄 涙を誘う気配が 知らず知らず訪れ
遠路ゆえに 一人きりなのだと言わないで欲しい
夜更けに会っていると 人に知られることが辛いのだ
もし心の交わりでもって 一緒に会うことがあるのなら
寒さを突いて 毎晩逢いに行くことを