新蝉 新たなる蝉《せみ》
新発一声最上枝 新たに一声を発《はつ》す 最上の枝 莫言泥伏遂無時 言ふ莫《なか》れ 泥に伏して遂《つひ》に時無《な》しと 今年異例腸先断 今年は例に異《こと》なり 腸《はらわた》 先《ま》づ断《た》ゆ 不是蝉悲客意悲 是《こ》れ 蝉の悲しぶにあらず 客意《かくい 》の悲しぶならん
新たに鳴き始めた蝉
新たに鳴き始めた 樹木の梢《こずえ》 言わないで欲しい 泥に隠れて とうとう時機を得ることがなかったとは 今年は例年と違い (鳴き声を聞くと)まっさきに悲痛な気分になる これは蝉ではなく 旅人たる私が悲しいのだろう