冬夜、対月憶友人 冬の夜、月に
月転孤輪満百城 月は孤輪を転じ
無端悩殺客中情
山疑小雪微微積 山は疑ふ
水誤新氷漸漸生 水は誤つ 新氷の
永夜猶宜閑望坐 永夜
寒嵐不得出遊行
毎思玄度腸先断
空放吟詩一両声 空しく
冬の夜、月に向かい友を想う
月はただ一つの輪をめぐらせ (光が)国中に満ち溢れる
思いがけず悩ませる 旅の最中の心を
山は(月の光を受け) わずかな雪がかすかに積もっているのかと怪しみ
川は(月に照らされて) 新たな氷が徐々に張るのかと見まちがえる
長い(冬の)夜には やはり静かに(月を)仰ぎ見て座っているのが良い
山の気は冷え冷えとして 外出して遊び歩くことはできない
(月を愛でた)許詢を思うたびに 腸が断ち切れんばかりの痛切な哀しみに襲われる
なす術なく思うまま 詩を詠じるひと声ふた声