春詞、二首(2)
雨後江辺草染来 雨後の江辺 草染来《そ》めたり 遥思去歳始花梅 遥《はる》かに思ふ 去歳《きょさい》始めて花《はなさ》きし梅 帰鴻若当家門過 帰鴻《 きこう》 若《も》し家門に過《よ》ぎるべくんば 為報春眉結不開 為《ため》に報《しら》せよ 春眉《しゆんび》の結びて開かざることを
春の詩、二首(2)
雨上がりの水辺を 草が(青々と)染めている 遥かに思うのは 去年始めて咲いた(自宅の)梅のこと (北へ)帰る雁よ もし(我が)家の門を訪れようとするのなら (私の)ために(梅に)告げておくれ (主人は)春なのに(物思いで)愁眉《しゅうび》を開くことはないのだと