冬夜、九詠(1) 不睡 冬の夜、九詠(1) 睡《ねむ》らず
不睡騰騰送五更 睡らざること騰々《とうとう》として 五更《 ごかう》を送る 苦思吾宅在東京 苦《はなは》だ思ふ 吾《わ》が宅《いへ》の東京《とうけい》に在《あ》ることを 竹林花苑今忘却 竹林 花苑《くわゑん》 今や忘却《ばうきやく》せん 聞道外孫七月生 聞道《きくなら》く 外孫《ぐわいそん》七月に生まれたりと
冬の夜、九首(1) まどろむことなく
まどろむことなくぼんやりと 未明を過ごす ひたすら思う 左京にある我が家のことを 竹林も 花園も 今や(私の事を)忘れ去ってしまっただろう 聞くところでは 今年の七月(嫁いだ娘に)孫が産まれたという話だ