冬夜、九詠(6) 暁月 冬の夜、九詠(6) 暁《あかつき》の月
客舎陰蒙四面山 客舎陰蒙《いんもう》す 四面の山 窓中待月甚幽閑 窓中にて月を待つ 甚《はなは》だ幽閑《いうかん》なり 遠鶏一報廻頭望 遠鶏《ゑんけい》の一たび報ずるに 頭《かうべ》を廻《めぐ》らして望まば 挿著寒雲半缺環 寒雲《かんうん》に挿著《さうちやく》す 半ば缺《か》くる環《たまき》
冬の夜、九首(6) 明け方の月
官舎は覆われている 四方の山に 窓辺で月(の出)を待つ (その景色は)とても物静かである 遠方で鶏がひとたび(夜明けを)告げたので 首の向きを変えて遠望すると (外に見えたのは)寒々とした雲に挟まれた 半分欠けた月