夏日、餞渤海大使帰、 夏日、
各分一字〈探得途〉
初喜明王徳不孤 初め明王の徳は孤ならざることを喜びしも
奈何再別望前途 再び別れて
送迎毎度長青眼 送り迎ふる
離会中間共白鬚 離れ会ふ中間に 共に白鬚なり
後紀難期同硯席
故郷無復忘江湖 故郷 また
去留相贈皆名貨 去るも留るも
君是詞珠我涙珠 君は
夏の日、
各自に韻字一字を割り当てた〈探韻して「途」を得た〉
当初は(あなた方の来朝によって)徳のある名君には必ず協調する者がいると喜びましたが
再度別れて将来(の再会)を期待しようにもままなりません
見送り迎える度ごとに いつも笑顔で迎えましたが
離別し再会する間に 共にあごひげが白くなりました
(次回使節団が入京する)十二年後に同席して詩を作ることは 期しがたいでしょう
(しかし)故郷に帰っても (この国の)川や湖をお忘れにならないで下さい
去る者も残る者も 優れた宝物を贈りますが
(私達が贈るのは)あなたが(詩という)珠玉の言葉で 私は涙の玉なのです