九日後朝、同賦「秋深」、応製 九日後朝、同じく「秋深し」を賦す、製に応ず
年有一秋秋有三 年に一秋有り 秋に三有り
就中季白意難堪 就中 季白 意堪へ難し
雨寒遠感呉江水 雨寒く 遠く感ず 呉江の水
風冷遥思楚嶺嵐 風冷かにして 遥かに思ふ 楚嶺の嵐
浅分花凋蘭不恨 浅分 花凋めども 蘭は恨まず
貞心露結竹猶含 貞心 露結べども 竹は猶含む
穿雲明月応能照 雲を穿ち 明月 能く照らすべし
何更人前事事談 何ぞ更に人前にて 事々を談らん
〈当時依微諫、負小讒。 〈当時微諫に依りて、小讒を負ふ。
応製之次、聊以形言。〉 応製の次に、聊か言に形す。〉
重陽の翌日の宴にて、皆で「秋が盛りである」を題に詩を作る、詔に応じて
一年に一度秋があり 秋には(伯・仲・季という)三つ(の時期)がある
(中でも)とりわけ 季秋(晩秋)は (悲しい)気持ちが抑え切れない
(秋の)雨は寒々として 遠く心を動かす 呉の川の流れに
(秋の)風は冷え冷えとして 遥かに想像を巡らす 楚の山並みに吹く嵐に
花がしおれても 蘭はつまらぬ身の上を恨むことなく
露が下りても 依然として竹は節操正しい心を持っている
雲を突き抜け 明るい月は(地上を)照らすことができるだろう
今更他人の前で どうしてあれこれ説明しようか
〈今それとなく諌めたところ、中傷を受けた。
詔に応じるのに合わせ、(心の内を)少しばかり詩にする。〉
http://michiza.net/jcp/jcpkb436.shtml