南館、夜聞都府礼仏懺悔 南館にて、夜に都府《とふ》の礼仏懺悔《らいぶつざんげ》するを聞く
人慚地獄幽冥理 人は慚《は》づ 地獄幽冥《 ぢごくいうめい》の理《ことわり》 我泣天涯放逐辜 我は泣く 天涯放逐《てんがいはうちく》の辜《つみ》 仏号遥聞知不得 仏号 遥かに聞こゆれども 知ることを得ず 発心北向只南無 発心《ほつしん》 北に向かひ 只《ただ》 南無《なむ》とのみ
南館で、夜に大宰府《だざいふ》政庁で仏を礼拝し罪を悔《く》い改めるのを聞く
人は恥じる 地獄の奥深くで暗い道理に 私は泣く 天の果てに追放された罪に 仏の名は 遥かに聞こえても (どの仏か詳しく)知ることはできない 信仰心を起こし 北に向かい ただ 南無《なむ》(帰依《きえ》します)とばかり