二月十九日 二月十九日
〓西路北売人声 〓《かく》の西 路《みち》の北 売人の声 無柳無花不聴鶯 柳無く 花無く 鶯《うぐひす》をも聴かず 自入春来五十日 春に入りしよりこのかた五十日なれど 未知一事動春情 一事の春情を動かすことを知らず
(延喜二年)二月十九日
城郭の西 道の北には 物売りの声 柳もなく 花もなく 鶯の声も聞こえない (年が明けて)春になってから五十日になるが 春ののどかな気分を催させるものはない