秋晩、題白菊 秋の晩《くれ》、白菊に題す
涼秋月尽早霜初 涼秋の月尽きて 早霜の初め 残菊白花雪不如 残菊の白き花は 雪も如《し》かず 老眼愁看何妄想 老眼 愁《うれ》へて看《み》るは 何の妄想ぞ 王弘酒使便留居 王弘《わうこう》が酒の使ひならば 便《すなは》ち留《とど》め居《を》かん
晩秋、白菊を詩題にして
九月の月も果て 初霜の降りる時期 時節遅れで咲いた菊の白さには 雪も及ばない 老眼で 憂いつつ見るのは 何の妄想だろう (陶潜《とうせん》の時のように)王弘《おうこう》の元から酒を運んできた使者なら そのまま引き止めておこう