問秋月 秋月に問ふ
度春度夏只今秋 春を
如鏡如環本是鉤 鏡の
為問未曾告終始
被浮雲掩向西流 浮雲に
延喜2(902)年秋の作です。
夜空に浮かぶ月は、丸くなったり細くなったり満ち欠けを繰り返し、季節の推移を絶えず私達に告げます。しかしふと上弦の月を見やると、黒い薄雲に見え隠れしながら西へ押し流されているではありませんか。その様子は、予想だにしない嫌疑を掛けられて突如西府へ追いやられた自分の姿と重なるようでした。
不意に問いかけられ、さて
秋の月に尋ねる
春を過ぎ夏を過ぎ 今は秋
鏡のように輪のように(丸くなるが) 元々は釣り針(のように細かった)
ちょっとお聞きするが 始まりと終わりを告げることは今までなかったのに
(今は)浮き雲に覆われて西に向かって流れているのか