国文学の専門家が書いた研究書なので、正直言って難しいと思います。しかしこの人の題名のつけ方はいつも人を絶句させます(過去には問答体の論文! なんてのもありました)。平安時代の中でも院政期はなかなかけったいな時代ですが、いい勝負してます。
中身もすごい。院政期の学者、
今回紹介するのはそのうちの書き下ろしで、大江氏の優位性を示すために匡房が始祖伝承を捏造したという話。匡房は大江氏と菅原氏がともに
そのくせ匡房は結構道真を意識しています。「道真の漢詩は人が真似できるものではない」とか言いながら、道真を道具に自分の作品の素晴しさを自慢していたり。まあ当時の文人にとっては天神は「文道の大祖」なので意識するのは当然なのですが、道具にしたの、一度きりじゃないんですよね……。