昔数学が全然出来なかった人間として断言します。数学をものにしたければ、同じ問題を解けるまでしつこく解くことです。私は最高で24回やりました(普通そこまでやらなくても解けると思うけど……)。市販の問題集を買うなら、解説や解答が詳細なものをお勧めします。学校の問題集なら、得意な人の解答をコピーするのもいいかもしれません。なぜかって? それは続きを読めば分かります。
どうせなら努力を目に見える形にしたい。それには、裏の白いチラシか使いかけで残った大学ノートと、透明なケースに入った水性黒ペンを用意します。
チラシは普段から収集し、B5ぐらいの大きさに切り、白い面を上に積み重ねて保存しておきます。大学ノートなら使った部分を外してしまいます。勉強のために新しいノートを用意すると、丁寧に使わなくてはと思いますが、チラシの裏や使い古しのノートなら贅沢に使える。これが大事なのです。
試験が近づくとおもむろに取り出し、問題集を見ながら1枚(1ページ)に1大問ずつ黒ペンで解答を書きます。ここで注意したいのは「5分考えて分からない問題は解かない」こと。それ以上考えても無理です。むしろそこでペンを止め、どういう手順で解くのか解答を読む(「見る」ではありません)ことです。それが済んだら新しいページで再挑戦。5分たってダメならまた解答を読み直す。再度解く……と記憶の再現作業を繰り返し、最後まで自力で解ければご苦労様。採点だけで済ませる人がいますが、間違ってると思うだけならいつまでも苦手科目のまんま。
解いた紙は残しておくと試験直前には立派な紙束になります。それを試験の後でまとめて捨てるのが快感なんです。そして黒ペンの胴体には細長く白いシールを貼り、印をつけて毎日インクの残量を記録。その日どれだけやったかこれで一目瞭然です。
なお、「理系科目が苦手なのは親のせい」というのは全くのウソだそうです。数学苦手な人って、目的地を設定してから逆算して行き方を求めるのが苦手なんですよね。「証明問題が解けない」なんてのがその典型的症状です。
受験生に一言。文系数学は大学によって恐ろしく平易な問題を出すので、私大を受けるなら過去問をチェックしておきましょう。ウラがあるかと思えば全然なかったり、教科書の定義そのままだったり……、教科書に載っていない内容まで聞かれる社会科と違い、満点が狙えるのは驚きでした。
暗記用グッズが色々売られていますが、私のお気に入りは、穴埋め式の問題集と小さな赤いシートの組み合わせ。予めピンクのペンで解答を書き込んでしまえば、電車の中でもベッドの上でも勉強ができます。使用するインクの色がピンクなのがミソで、赤だとシートの下から透けたりしますが、シートより薄い色なら絶対見えません。
「うるはし」と「うつくし」の違いが分かりますか? 古文単語を甘く見てはいけません。そこで単語帳を買うわけですが、選ぶ基準は単語の数よりページを開いた時のインパクトなのが英単語と違う点。要するにお笑い系の本を買おうと。いくつ記憶に残るかが問題なのです。
中でも傑作だったのが『荻野文子の超基礎国語術・マドンナ古文単語230』(学研)。漢字を使った語源説明に語呂合わせ、例文は何と現代語。入試に出やすいのはどれかという見地から、イメージで理解できるように書かれています。イラストがなかなか面白くて、「ねんずで我慢しなさい」「母上それをいうならメンズでござる」(念ず=我慢する)と、だじゃれを駆使した会話が繰り広げられています。寝っ転がって読める本です。ただ実践編の『マドンナ古文単語230れんしゅう帖』は、価格の割に使わなかったですねぇ。
英語はものにならなかったのであまり偉そうなことは言えませんが、入試は長文対策(長文アレルギー対策?)が鍵になることは確かです。長文の問題を解くと異様なほど単語力がないのが判明しますから。
問題集のコピーをノートの左半分に貼り付け、右側に問題の解答を書く。これは誰でもするでしょう。全文訳はしない。これも当然のことです。節を括弧でくくったりして文の構造を視覚化するのは予備校でお馴染み。そして私は、長文を読みながら分からない単語をマーキングします。辞書を引くのは問題の採点が済んでから。その後しばらく単語の暗記です。特に動詞は要注意。名詞は文脈から見当を付けられますし、形容詞や副詞はなくても内容はつかめるのに対し、動詞は知らないと文全体の意味まで分からなくなる恐い存在です。『大学入試出る順 英熟語ターゲット1000』『大学入試出る順 英単語ターゲット1900』(旺文社)には随分お世話になりました。ちょっとした辞書代わりに使えるところも重宝します。
歴史の暗記にごろ合わせを使うのは当然の話。そこで自作のネタを少々。
まず「なにさ(723)、三世一身の法と言ったって」。「三代終われば元のもくあみ」と続きます。ちなみに、ちょうど20年後が墾田永年私財法です。
次は729年の長屋王の変。「なにく(729)そと言いつつ死んだ長屋王」。
江戸時代初期、武家の教育に関する頭文字。「あほや」「かまきり」「おいくははごし(お郁母越し)」。
「あほや」=「あいづ(会津)のほしなまさゆき(保科正之)がやまざきあんさい(山崎闇斎)を招いた」
「かまきり」=「かが(加賀)のまえだつなのり(前田綱紀)がきのしたじゅんあん(木下順庵)を招いた」「り」はおまけ。
「おいくははごし」=「おかやま(岡山)のいけだみつまさ(池田光政)がくまざわばんざん(熊沢蕃山)を招き、はんがく(藩学)はなばたけきょうじょう(花畠教場)とごうがく(郷学)しずたにがっこう(閑谷学校)を作った」
なお、暗記だらけになりますが、日本文化史はきちんとやっておくと日本文学史(国語)で報われます。