所在地:京都府相楽郡
交通:奈良交通・東和束バス停下車
(傾向)ここまで知らなかったとは、と改めて愕然。
(対策)人口比率なら過半数を制しているよ、と慰めてみる。
お恥ずかしい話ですが、京都府の地理には詳しくありません。さすがに京都市近郊(長岡京市・向日市・八幡市・宇治市あたり)までは分かるのですが、あとはかなり怪しいものがあります。
そこで他の市(京都府は全部で15市10町1村)を思いつく限り書き出してみたところ、半分まで行ったところで撃沈しました。しかも京丹後市を何の疑問も持たずに「京丹波市」と書く始末。「丹波市」(こちらは兵庫県)と「京丹波町」なら存在します(紛らわしい……)。
中部以北(JR山陰本線園部駅より先)と南部(近鉄京都線沿線)は完全にアウトですね。ほぼ未踏の地だから仕方ないんですが、調べれば調べるほどトリビア化してゆくのはなぜなんでしょう。「JR奈良線はすべて京都府内」であることも、京都府と三重県が隣接している(東南端の南山城村が伊賀市の隣)ことも、もう驚愕の事実でした。
木津駅から加茂駅(西口)を経由し、和束町小杉まで行くバスに乗ります。本数が少ないので時刻表は事前にご確認を。あくまで京都府内の路線ですが、運営元は奈良交通です。
東和束で降り、府道5号線を先に進むと、道路をまたぐ赤い橋が見えます。
この両側にある森が天満宮の敷地です。看板の指し示す方(向かって右)が主要エリアになります。
創建は平安中期ということになっていますが、現在の本殿は14世紀半ばの室町時代に建てられたもので、重要文化財に指定されています。小さな臥牛が本殿手前に2頭、本殿の上にも狛犬と並んで2頭と、まるでオブジェのように置かれていました。
1台見送ったらまた1台、また見送ったら今度は団体、という調子でやたらと見掛けたのが、ロードタイプの自転車(当然衣装もレーサー仕様)とツーリング中のバイク。鉄道のない山間部だけに、大阪から三重方面へ抜ける旅行者が多いようでした。
(傾向)何度見ても飽きないが、謎も残る。
(対策)三度目の公開があることを期待。
この神社には、14世紀に作られた
もともと天神縁起は「文字だけのもの」から始まり、「文字と絵を交互に繰り返すもの(=絵巻)」に発展しました。絵巻の段階でも限られた人に見せるということがありましたが、さらに、大勢の人に同時に見せる必要から、絵の部分だけを取り出して数本の掛軸に仕立てたものが、掛幅です。
こちらのものは、異時同図法のように、異なるシーンを場面の区切りをあまり意識させないようにして描いており、保存状態も比較的良いものです。
特別展『天神さまの美術』の図録に完全収録された後、大阪市立美術館で再び公開されました。天神縁起絵巻の定番の図柄を素直で柔和な筆致で描いていますので、松崎本などを一通り読んだことのある人なら、悩まずに読み解けると思います。説明を求められたら、筆者なぞは1時間近くは絵の内容だけで熱く語れるのではないかと。
ただ、それでも第2幅中央右の「菅丞相の前で打ち伏す都良香」、第4幅左上隅の「地獄で天神の求めに応じて文章を書く裸の小柄な老人」はちょっと想像がつかないですね。地獄に堕ちた能書家は藤原佐理ではなく藤原敏行でしたし……。
文字だけの天神縁起も一緒に伝わっていますから、本当はそれとセットにしないと、鑑賞したとは言えないんでしょうけれども。