所在地:京都市下京区油小路通綾小路下ル風早町
交通:京都市バス・西洞院仏光寺バス停下車
(傾向)それだけは御勘弁を……。
(対策)カンパは心地良く、取り扱いは崇高に。
北菅大臣神社の横の公園を抜けると郵便局がありますが、そこからさらに西へ進むと、風早町に入ります。その一角にあります。もとは貴族が屋敷に祀っていたもののようですが、油小路通に由来する「油天神山」の名前を出した方が通りが良いと思います。そう、祇園祭の山の一つなんです。
巡行順が分からないと、「鳥居+社殿+梅+松」という基本構成が同じ霰天神山と区別するのは難しいと思います。
こちらの見送り(背面のタペストリー)は富士山(梅原龍三郎「朝陽図」)、胴掛(側面)は前田青邨の「紅白梅」です。
山鉾巡行ってあれだけ大量の人を集めるお祭りでありながら、撤収は異常に早いです。まだまだお祭り気分の観光客を尻目に、お昼を過ぎた途端、すぐ分解を始めてしまいます。気がついたら身ぐるみはがれて骨組みだけになっていた! なんてことはいつものこと。なので午後からの予定を別途立てておかないと時間を持て余します。
当然この山も地元に戻ればすぐ裸にされてしまいます。本当はそこで終わり、なんですが、ちょうど社殿を取り外していたところだったので、しばし様子を見学することに。
小さな台の上に置き、社の裏側の扉を開け、おもむろに御神体を取り出します。大人が一抱えする大きさの御神体には、人目に触れないよう布をかぶせ……、と書くと聞こえが良いでしょうが、その「布」が絹布でも木綿でもなく、タオルだったりするから言葉に詰まります。
整髪料のCMじゃないんだからもっといい布使ってよ〜、と訴えたい気分です。そうでもしないと御神体を見たくて仕方のない意欲の持って行く先がありません。
2002年に新しい胴掛として前田青邨の「紅白梅」をあつらえました。幹を大きくうねらせたダイナミックな図柄ですが、改めてその時のWeb版「京都新聞」の記事を読むと、そこには2枚分の製作費用として「約3,000万円」(!!)の文字が。
確かに他の山でも、同様に新調した胴掛の前で「これでマンション1軒買えます」という話を小耳に挟んだことがありますが、その時も翌日の新聞には「3,200万円」と出ていました。
京都市中心部は人口流出が進んでいますから、製作費を積み立てるのも容易ならざるはず。お守り買う意義はこういうところにあるんですよね。気にいったところにカンパする。そして玄関に飾って「どう? ウチはちょっとしたメセナしてるのよ」と周囲にアピールするのです(笑)。