所在地:大阪府
交通:近鉄南大阪線・道明寺駅下車
(傾向)保存しながら公開するのは大変だ。
(対策)時にはプロの写真の方が便利。
道明寺天満宮の近所にある尼寺。天満宮の敷地にあったのが、明治初期に移転しました。当初の名を
道真の叔母はここの住職だったとの話。大宰府への道すがら立ち寄る余裕があったとは思いませんが、それ以前に来ていたことは確実で、平安後期には直筆まで伝わっていました。
ここの今の本尊(昔は釈迦三尊像が本尊だったらしい)の十一面観音立像(国宝)は平安時代初期のもの。この時代の仏像って肉感豊かなものが多くていい。そのまま本堂に安置されている状態なので、毎月18・25日に出向いて現物を見るより、「天神さまの美術」図録や「週刊朝日百科日本の国宝」第35号など、写真の方が細部が見やすいです。拝観は有料。境内は無料です。
(傾向)この話、昔の人には常識だったのかとも思う。
(対策)肝腎の木が境内にないのを知らないと無駄足。
能楽に「道明寺」という作品があります。まずはそのあらすじから。
晩秋のある日、尊性という相模国の僧侶が、従僧二人を連れて道明寺に来た。「善光寺に参籠したところ、『道明寺には天神が五部の大乗経を書写して埋めた所に生えたという木があるが、その実を数珠に仕立て、念仏を百万遍唱えれば往生できる』というお告げがあった。」と、尊性は寺に仕える老僕と男に言う。
それを聞いた老僕は早速その木を尊性に見せ、天神の下向の次第や大宰府での日々について語るが、最後に「我は天神の御使、白太夫神である」と言い残して消えてしまう。そこに天女が現われ、白太夫神を呼び出し、舞の拍子を取らせる。白太夫神が木の実をふるい落とし、尊性に与えたところで、彼は夢から覚めた。
道真が道明寺で五部の大乗経を書写し、伊勢・八幡・春日三神の示現に従って埋めたところ、そこから木が生えた、というのは道明寺の縁起にある話ですが、この木があるのは現在の境内の外。道明寺天満宮からまっすぐ南下し、西に入ると西宮という小さな社がありますが、ここの境内にあるんです。
普段は施錠されていますが、天満宮の社務所に依頼すれば見学できます。とにかく大きな木です。実は数珠向きの小さな丸いもので、一定方向に切れば断面が経典の形になっているそうです。