所在地:広島県尾道市長江
交通:好きっぷライン(循環バス)・長江口バス停下車
(傾向)瀬戸内沿岸は天神社が多いらしいのですが、なかなか行く機会がありません。
(対策)波に乗る、それに尽きます。
千光寺山ロープウェイ山麓駅の右側に回り込み、右折して坂を登ってゆけばたどりつきますが、あちこち道が曲がりくねって迷いかねないので、地図は必須アイテムです。
その道すがら、民家の軒先に「天神水」と書かれた物体を発見しました。しかしどう見ても何の変哲もないただのウォータークーラーで、正体はいまだもって謎です。
「所用で尾道に行くから地図印刷して」と指示され、ネットで検索すると、尾道にも天神社がありました。それがこの神社です。とは言え「天神社を見に行くためだけに旅行する」ことは極力控えているので、頭の片隅に置いておく程度に。するとその年、行程に尾道を含む旅行のお誘いが。さすがに平日3日間も休むと費用もかさむし支障もきたすので、2日目から合流することにしました。
そして宴席で「明日は天満宮行きます!」と宣言した翌日、団体行動の後の空き時間をフル活用すべく、関東育ちなのに広島をこよなく愛する友人を道連れにいざ出発。「平地仕様だから山登りは勘弁してくれ」と言われながら、天神社のために山登りにつきあわせるのもこれで3度目。この調子では4度目も坂が待っているに違いありません(笑)。
大宰府への道すがら、地元の人の饗応に対し、衣の袖を裁って自画像を描き与えたから「御袖」なのだそうです。自画像起源説は時々見受けられますが、在原業平ばりに袖を切ってみせたというのがポイントですね。
ただ、通常は、映画「転校生」で主人公2人が転がり落ちた石段のある神社として知られているようです。「戦艦ポチョムキン」よりはかわいい階段かなと思いつつ見下ろすと、階段落ちは「蒲田行進曲」で充分という気になります。段の高さは一定なので上り下りはしやすいのですが、そこそこ距離はありますから、痛い思いはしたくありません。しかし「道真さんと2人で、なら?」と聞かれれば、喜んで絡むかも知れません。君と2人でいるなら、何も痛く……、ない訳ない。
石段を下りたところで、左脇に畑のようで畑でない、何やら好奇心をそそる空間がありました。そこでとりあえず敷地内へ侵入することに。この思いつきは正解で、奥の突き当たり、一段高くなったところに石に囲まれしめなわを張られた石がありました。そして「菅公腰掛岩」と刻まれた石柱が。
近寄って覗き込むと、そこには横長の石が2つ並んでいます。「腰掛岩」と言うと道真とは関係なく
商店街まで戻り、バス用駐車場の近くでたまたま目についた和菓子屋「中屋」へ。お土産を物色していたら、「御袖」なる商品を発見。もしやまさかと思いきや、案の定ソレでした。パッケージにしっかり「東風吹かば...」の和歌が刷り込まれていたのです。ただし末尾は「春な忘れそ」でしたが。梅の実が入った梅ゼリーだと思うと割高なんですが、こうなれば自分用に買うしかない。そして友人連中に見せびらかして失笑をも買うのでした。
広島土産の定番もみじまんじゅうには「錦もみじ」という商品がありますが、こちらの化粧箱には「このたびは...」の和歌が印刷されています。華麗に水くくらずして紅葉ならぬまんじゅうを手向けられるという趣向でしょうか。
そしてお昼ごはん。尾道とくればラーメンかな、と普通に考えていたところ、IT業界の某有名人が選挙活動のかたわら立ち寄った直後とかで、最寄りの有名店の前は大行列。待っていたら時間がなくなるので近所の小さな店で広島焼を初体験しました。地元の人々に混じって頂きましたが、関西風のお好み焼きよりも好きですね。有名な店で食べた時もそんなにおいしいと思えなかったんですよ。
余談。別行動を取っていた知人から、「店先にあったんで貰ってきたよ」と渡された贈り物は、夏祭りのポスター。気持ちはものすごく嬉しいけど、飾るのも恥ずかしいし、どうすればいいんでしょ……。その昔、最寄駅に貼ってあった太宰府天満宮のポスターが欲しくて、さんざん逡巡した挙句、意を決して駅員さんに直訴したら、「さっき剥がして捨てました」とあっさり言われたこともありましたっけ。