山陰亭

上野天満宮(8KB)
上野天満宮

所在地:愛知県名古屋市千種区赤坂町
 交通:名古屋市バス・天満通1丁目バス停下車

小ネタの積み重ねで遊ぶ郊外はやる前に先取り!

小ネタの積み重ねで遊ぶ郊外

(傾向)運動してうろたえて惚れ直し。
(対策)言わんとするところ、現地で御確認の上お笑い下さい。

 市営地下鉄名城線の砂田橋駅からバスに乗り換え。ただし駅からバス停まで少し距離がありますので、分かりにくいかも知れません。降車後は左折すればすぐです。
 名古屋市交通局の1日乗車券は、地下鉄専用と地下鉄・バス共通の2種類があります。その差はわずか100円。どうせ1時間に2〜3本だろうし、乗るのはこの往復だけだし、歩いても1kmちょっとだし、と読んで地下鉄専用を選び、駅に到着した後、地上で早速ウォーキング開始。ところが、行程の半分も消化していないうちに、バスが気持ち良さそうに脇を通り抜けていきます。時刻表を確認して知ったのですが、結構本数があるのですね。その先に続くちょっとした坂道を上りながら、往復30分の努力は100円の価値しかないのかと思うと、少なからず空しくなります。ですから、1日乗車券を使うならバス付きをお勧めします。
 ……そうそう、途中の交差点の名前、ちょっと笑えますよ。単なる偶然の一致ですけど。

石の臥牛(左)と青銅の臥牛(右)(10KB)
石の臥牛(左)と青銅の臥牛(右)

 臥牛は石と青銅の2頭。青銅製の方が時代は下るようですが、こうして並べてみると、同じ臥牛でも明らかに座り方が違いますね。いわば、石が「アァしんど、もう動きたないわ」、青銅が「テコでも動きまへんで!」。首をすっくと伸ばした青銅の方がより強固な意志を感じさせます。しかし「牛車に遺体を載せて運んでいると、不意にある地点で押しても引いても牛車が動かなくなった」という天神縁起の本筋からすれば、すっかりダレている石製の方が筋が通るかもしれません。

 絵馬は2種類。文台の前に正座して書を読む稚児。几帳を背に座し、筆と短冊を手にして梅を眺める姿。前者はお行儀がよろしすぎて別にどうということもありませんが、後者は描線に強弱があり、「東風吹かば...」を詠む前の、物思いにふける様子が良く表されています。その空気の切なさと言ったら、うまい具合にツボを突かれて……、惚れ直しそう(笑)。

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はやる前に先取り!

(傾向)安倍晴明なんて大昔から知ってるけど、結び付ける発想はなかったな。
(対策)切り離して考えた方が確実だと思います。

 筆者はブームに乗るのもオカルトも生理的に苦手なのですが、ここでそんなことを言っていたら説明のしようがありません。
 近くに名古屋ドームがありますが、ドームと指呼の距離にあるのが晴明神社。実在人物ながら陰陽道のエキスパートとして半ば伝説化してしまっている安倍晴明を祭っていることは言うまでもありませんが、この地に滞在して天満宮を建てたのが、その安倍晴明だとされているんですね。道真の御霊はもっぱら仏教の側から鎮撫されていますし、朱雀天皇や一条天皇の頃にピークが来ますので、道真と晴明は必ずしも直結しません。天神縁起にも登場しない程です。せいぜい、時平の病気に際し、「賀茂氏や安倍氏の(陰陽道による)祈祷も効果がないので、浄蔵に白羽の矢が立った」と触れられるぐらいのもの。にもかかわらず関連づけて説明しようとした人が昔からいたとは、意外な感じがします。いわば晴明伝説の尾ひれですね。
 もっとも、御当地ネタを踏み越えて、仏教(特に密教)や修験道を脇に置いて怨霊と陰陽道を短絡的に結び付けてしまうと、御霊信仰の本質を見誤ることになりますが。

 今ではすっかり立派な観光スポットと化した京都の晴明神社にしても、北野天満宮へ向かう途中、たまたま前を通りかかったことがありますが、車窓見学さながらに軽く見ただけでそのまま通過。一条戻橋が掛け替えられる前の話で、コンクリートの微妙な古さ加減が此方と彼方の境界線を強調していたのも、相乗効果でした。今でも行く気にはなれません。雰囲気を問題にする以前に、ミーハー扱いされるのが悔しいですから(笑)。

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