北野天満宮拝殿(国宝)
所在地:京都市上京区馬喰町
交通:京都市バス・北野天満宮前バス停下車
(傾向)定点観測の隠れた楽しみ。
(対策)上を向いて歩こう。
大きな駅から市バスで一直線。立命館大学行きなら確実に経由します。運動不足ぎみなら阪急の西院駅で下車し、JRの円町駅の東を経由して西大路通を北へ歩くこと40分。創建については「人が神になる日」に詳しいので、そちらをご参照下さい。
大きな石鳥居を抜けると石畳の参道が続きますが、突き当たりに大きな門があります。これが楼門で、そのまま先に進む人が多いのですが、忘れずに左横をご覧下さい。季節に応じた和歌や漢詩の一節が掲示されています。最近はもっぱら和歌に偏っております。
あわせて、楼門に掲げられた額も必ず確認しておきましょう。額には「文道大祖/風月本主(文道の大祖/風月の本主)」と書かれていますが、これは平安時代中期の学者大江匡衡の願文に見える対句を引いたもの(『本朝文粋』13:392「北野天神に御幣并びに種種の物を供ふるの文」)。原文は「就中、文道之大祖、風月之本主也」と、「之」の字を挟みます。「風月」は詩心をかきたてるもののことですから、平安時代を代表する漢詩文作家だった道真に捧げるのにふさわしい言葉ですね。
楼門(左)と三光門(右)
さらに奥にあるのが三光門で、ここを抜けて拝殿に向かいます。
2005年に拝殿前のスペースが特殊鋪装されました。バリアフリー仕様とのことですし、雨上がりの地面を歩いてスーツを汚した経験もありますが、靴の底で感じる平坦さと硬さはあまり好きではありません。中央だけならもろ手を挙げて大賛成! でしょうが、明らかに風情がなくなってしまいましたねぇ……。
とりあえずお参りしておみくじを引き、右側の出入口から出て裏側をグルっと一周します。石の間(本殿と拝殿の連結部)を背伸びして眺めることも。と言いますか、扉の位置が高くてよほど背が高くないと内部が見えないんです。正面からも見えないので、神事を見たくとも見えない……。別に隠してるとも思えないんですが、神事見物を放り出して縁日に流れることが常態化しつつあります(苦笑)。
外から見た石の間部分
実用性の高い「あるもの」がないことに、最近ふと気がつきました。それはガイドツアー。楼門前で待ち合わせて、伴氏社まで戻り、楼門から手水所(と赤目の臥牛)に行き、反時計回りに文子社・火之御子社等の末社をめぐり、正面に回って老松社・福部社・三光門を抜けて拝殿にお参り(ついでに授与所でおみくじやら何やら)。1時間もかければ天神信仰の基礎知識は身につくと思うんですが、どうでしょうか? 週末や縁日に合わせて博物館の展示品案内の要領で催せば、結構ニーズはあるはずですよ。そもそも興味がなければ来ないでしょうし。
(傾向)世の中は意外性に満ちている。
(対策)単純に物事を考えちゃいけませんよ、ということ。
「天満宮の祭神は菅原道真です」
確かにその通り。ですが北野天満宮の場合、一緒に奥さんと息子も祭られています。本殿裏側には父親と祖父、少し離れて妻の父親。ついでに境内を探し回れば子孫の社まで見つかります。他氏族の人も含めれば、ここの神社で祭られている実在の人物は合計何名になるでしょう? 試算では約20人でした。
(傾向)常識をもみほぐす。
(対策)行ったついでに提灯をチェック。
天神=梅、という固定概念をお持ちの方が多いのですが、北野天満宮の提灯を見ると、松も神紋としてあしらわれています。拝殿前にも左右に梅と松を植えていますしね。背丈が高い常緑樹ゆえ、しばしば天下る神の依代と見なされる松が天神信仰と結び付くのは、天神の託宣通り北野馬場に一夜にして松が生えた、という伝承によります。今でも参道に沿って随所に松が生えています。普通の日に行くと数の多さに驚くのではないでしょうか? そして三光門の手前左側に「老松社」という祠がありますが、ここの神様が登場するのが「老松」です。
京都梅津(右京区)在住の人物が、北野での霊夢に従い筑紫安楽寺(=太宰府天満宮)に参詣した。境内にいた二人連れをつかまえて飛梅の所在を尋ねると、「御神木なら『紅梅殿』と呼ぶべきですよ」といなされる。話は梅の傍に祀られる老松に及び、「松も梅も天神の御愛樹として末社に祀られている」と告げ、二人は姿を消してしまう。そのまま未明まで境内で待っていると、老松の精が現れて御代をことほぐのだった。
「菅原伝授手習鑑」の冒頭も、梅松の故事から始まっているのですが、さもありなんといった感じです。しかし太宰府の拝殿の前に植えられているのは左右ともに梅なんですよね。そこで古絵図を眺めてみれば、老松社は福部社(これも北野のものは狂言「福部の神」の題材になっています)と一緒に本殿の裏手にありました。そして飛梅の隣には「代々木」の文字。何なんでしょう、代々木って? 予備校ではないと思いますが……。
(傾向)予備知識抜きでは理解不能な物語。
(対策)まず「輪蔵」とは何か、把握しましょう。
影向の松
大鳥居付近の参道の右脇に、「影向の松」があります。初雪の日に天神が現れるとされる神木ですが、室町時代、その側には経王堂が建てられ、輪蔵も作られました。これは中国で傅翕という人物が考案した装置で、箱に入れた経典を八角形の回転式書架に収めたもの。一回転させると一回経典を読んだ功徳が得られるとされます(写真は荏柄天神社を参照)。で、この輪蔵は謡曲の題材にもなっているのですね。「老松」とは逆に、大宰府発北野着の物語です。
大宰府の僧が北野天満宮に来て、境内の輪蔵を拝していると、老人がやって来た。彼は輪蔵に収められた一切経を守護する火天で、長年仏道に精進してきた僧侶の姿勢を賞賛し、消えた。夕方を迎えた頃、異香薫じ、音楽が響き、紫雲がたなびき、花弁が降る中、厨子が開き、中から輪蔵の本尊である傅翕親子が現れた。傅翕は僧侶に一切経の入った箱を渡し、舞い始める。火天も雲中から舞い降りて輪蔵を回す。僧侶が一切経を披見し終えた後、彼等は一切経の箱を神前に運び、天上へと去っていった。
大報恩寺経王堂
むろん輪蔵は現存しませんが、造営当時の一切経や傅翕親子の彫像などは、近くの大報恩寺(千本釈迦堂)に残っています。
(傾向)吉凶ばかり問題にする傾向に一石。
(対策)考えようで良くも悪くもなる。
とにかく重い金属製の六角柱をガシャガシャ振っていると、細い金属棒が一本。
ここのおみくじ(100円)は道真さんの漢詩の一節を読み解くという珍しいもので、いわば「自社製」なのですが、これが結構痛いところをついてくる。おかげで持って帰る習慣がつきました。読み返して反省の材料にしようと。しかし受験間際はご遠慮下さい。凶(半凶まであります)が出ても責任持てませんので。
最近デザインが大幅に変更されました。サイズ自体は同じなのですが、紙も印刷も赤系統の色っぽいつくりになっています。文章は文語から口語へ、項目別の内容はより詳細なものに。また同じ番号の場合、文言自体はほぼ同じで解説も似ているものの、吉凶は全然違います。
むしろ今のは吉凶で判断しないほうがいいかもしれません。良いのは辛口、悪いのはフォローつき、と額面通りには取れない書きぶりです。肝腎の学業については、「ひたすら努力すれば叶う」という趣旨で終始一貫しているのが意味深長。
また使用されている詩句について補足しますと、第一番の「月輝いて清雪のごとし」が「月夜に梅花を見る」の「月燿いて晴雪のごとし」のリメイクであるように、案外柔軟に解釈しているようです。詳しい調査結果は「おみくじ出典詮索計画」を御覧下さい。
楼門の詩句もそうですけど、漢文扱える人がスタッフにいないと、こういう芸当できませんよね。
(傾向)最近の人は「味のある」字ばかり。
(対策)持っていくしかないでしょう。
ここの絵馬、内容を見ると進学のための受験が9割で資格試験(国家資格がほとんど)がちらほら、就職試験や学業成就や安産祈願がごくたまに混じっているという感じで、「受験の」神様そのものですね。
ここまで具体的な願望が集中する状況もそうそうないのではないでしょうか。
絵馬書所のお習字セット(左)と絵馬掛所(右)
そこで具体的かつ明示的な絵馬を書こうとすると、目の前には筆と墨。さすが書道の神様! と言いたいところですが、現代っ子には大変。細い油性マジックを持って行きましょう。筆の方が味があるんですが、つまるところ家で時間をかけて書けということになりかねませんから。
しかし、これでもかこれでもかっていくつも受験先並記するのってどうなんでしょう? 本命さえ受かれば充分だと思うんですけど……。
(傾向)縁日は楽しい、しかし対処を間違えるとしんどい。
(対策)何事もアウトローが一番。
普段は地元の人や修学旅行生が訪れる程度で穏やかな境内ですが、毎月25日は「天神さん」と呼ばれる縁日なので非常にごった返します。
初めて行くなら遊べるこの日。参道の石畳にそって屋台が並び、西の東向観音前には植木市が展開し、東側には古道具屋や古着屋が揃い、境内では宝物館が開きます。料金は大人300円、中高生250円(以前はこんな料金区分なかったんですが、修学旅行生を意識しているのでしょう)、子供150円。時間は9時から16時。10名以上なら25日以外も公開するそうで、事前に相談されると良いでしょう。
中でも1月の初天神、2月の梅花祭、12月の終天神あたりは、特に混雑します。最初から参道を使わないことしか対策はありませんが、こうすると屋台がのぞけない。
さらに要注意なのが帰りのバス。三条京阪・四条河原町・京都駅と、駅へ向かう便は多々ありますが、遅れて混んででもう大変。まさに行きは良い良い、帰りは……、の世界に陥ります。円町まで歩いてJRに乗るか、ひとつ手前の北野白梅町まで戻るのが無難ですよ。
(傾向)想像よりもモノは良いです。
(対策)あともうちょっと安ければ嬉しいのですけれど。
北野天満宮と言えば2月〜3月中旬の梅苑公開が有名ですが、もうひとつ、11月初め〜12月中旬のもみじ苑公開も2007年から始まりました。隠れた名所として地元では知られていたようですが、環境整備もしてしまいましたので、茶菓子とセットで入苑料(600円)が必要です。
日中のもみじ苑 ※左岸がお土居
境内の西側に、豊臣秀吉が洛中と洛外の境界線として築かせた「お土居」と呼ばれる堤が残っており、そのすぐ西を流れる紙屋川とセットで散策コースになっています。ここに自生している紅葉を、夜間はライトアップまでして鑑賞しようというもの。
正直言って紅葉そのものは日中に見た方が映えると思うのですが、夜は夜で竹林とのコントラストが見事です。「木の末ごとに紅葉照らせる」って、こういう状態を指すのでしょうか。境内には「このたびは...」の石碑もありますよ。
(傾向)進路を取って笑いを取るのです。
(対策)通常は小粋のレベルで済みますので御安心を。
拝殿を右に抜けた先に東門がありますが、そのまま東南方向へ進むと上七軒という花屋街に入ります。右ばかり見ながら老松(後述)の前を通り過ぎ、少し歩いた先にあるのが北野郵便局。外観が町家なので少々分かりにくいかも知れません。
ここになぜ郵便局が出てくるの? と思うなかれ。一部の郵便局には「風景印」という御当地モノを描いたオリジナル消印があり、とりわけ京都は種類が豊富です。臨時販売所限定(レアの極致!)の、7月15日「祇園祭スタンプ」、10月22日「時代祭スタンプ」なんてのもありました(葵祭バージョンは未確認)。で、北野局は文字通り北野天満宮バージョンなのです。あらかじめ郵便物を用意しておき、窓口で風景印をリクエストすれば、料金を確認した上で押してくれます。自分用なら官製ハガキに自分の住所を書いてしまうか、コレクターっぽく台紙に切手を貼って押してもらうかになりますね。
筆者の場合、分かる人に分かる冗談を効かせたくてこの消印を使うので、必然的に宛先に「○○天満宮」を冠するものが混じることとなり、押す側からすれば、すこぶる怪しいことこの上ありません(笑)。
そして「週末しか京都行けないの」という人にとっておきの裏技。郵便局前のポストに投函する際、「北野局の風景印でお願いします」と書いたメモを付けてしまうのです。実際のところ、収集は近くの西陣郵便局が担当しているのですが、きちんと指示しておけば通りました。
ただし、一つ厄介な問題が。北野っぽい消印なら北野っぽい絵葉書を合わせたいというのが心情なのに、手頃な値段でいい感じの絵葉書が近辺では売っていないのです。個人的には「菅原伝授手習鑑」の芝居絵や承久本天神縁起を印刷したものを何枚か持っていますが、あくまでコレクション用で人に渡す分はありませんし、今でも入手できる確証もないですし。
社殿や境内の風景を水彩画(日本画や版画という手もありますね)で描いたものが100〜150円程度であれば良いのですけどね。……いっそのこと、ナイならナイで、自分で作ってしまいましょうか(笑)。
(傾向)旅行番組ならメインはこっち。
(対策)数が多いから、まず情報収集して候補を絞った方がいいですよ。
お土産に食べ物関係はどうかなと、社報を見てたらあるわあるわ。店舗自体は天満宮の東側(御前通)や鳥居前に集中しています。衣類の方は縁日に行けば即解決でしょう(笑)。
まず和菓子関係。上七軒にある老松。北野天神ゆかりの能楽作品を店名に持つ老舗です。近所の洋菓子屋グレース・セゾンも系列店です。座敷でリッチに京料理を味わうならおかもと紅梅庵。やきもちの天神堂。3軒とも東門の近く。赤飯まんじゅう(赤飯入りの餅)の三平餅。御前通を挟んで横。京酒まん(季節限定)や北野梅林(白餡入りの小さな餅)の船屋秋月。東隣です。粟餅の澤屋。道路南側のバス停のそば(=天満宮と道路挟んで向かい側)。次に京都らしいおとうふ。食事もできるとようけ茶屋。石鳥居のお向かい。天神とうふの北浦豆腐店。船屋秋月の北にあります。紅梅そばの田舎亭。北側(駅方面)のバス停の近く。太い一本うどん(実際は2本)のたわらや。船屋秋月から御前通を少し南下。
天満宮から南東に延びる道を行けば、今度は商店街に着きます。毎月25日に境内で出張販売している長五郎餅もこの中にあります。どこまで続くのかと思うほどくねくね曲がりながら延びる商店街です。
……とまあ、列挙だけしてお茶を濁すのもどうかと思い、最近ちびちびと食べてます。で、その結果報告をば。個人的に推薦したいのは、まさ活・ひだまり・小さなおもひで・クリケットあたりでしょう。次に狙ってるのは上七軒のグリル彌兵衛。外食するとよく「もどき」が出るせいか、洋食ってあんまり食べないんですよねー。高いし。
それから、お茶するには少々厳しいエリアだということも先にお断りしておきます。澤屋で煎茶をすするのでもない限り、甘味とお茶で千円いきますので。あとは北野白梅町にケンタッキーがある程度。(マクドナルドはありません。)あー、軽くつまみながら無意味にボーッとできる場所が欲しい……。
- 古の花
酒蔵を改装した和風カフェですが、食事もできます。かやく御飯定食と湯豆腐定食に、あとは麺類。黒を基調にした内装で、重厚な木製のテーブルに木製の椅子。店内の空気はひたすらユルいです。椅子が一人掛けのソファならもっとまったりできるんでしょうね。定食は早い時間帯に材料を切らしてしまうようで、かやく御飯定食を頼むと「おかずがだし巻き卵になってしまいますけど、宜しいですか?」という念押しが。本当は肉じゃがが主菜だったとのこと。さらに、後から湯豆腐定食を注文した客には「かやく御飯ちょっとしかないんですけど持ってきました」「白い御飯ですけど自由にお代わりして下さい」と、ひたすら平謝りしていました。変に正直な店です。手前には甘酒片手に週刊誌を読むオジさん、横には抹茶と和菓子で盛り上がる常連のオバチャン3人組。
さて食事内容ですが、炊き込みごはん・味噌汁・主菜・酢の物・漬け物の5点。小鉢はさりげなく梅模様のものを使っています。竹の子御飯はだしが効いていてしみじみと美味。ごはんがちょっと柔らかいかなという印象も受けますが、これは好みの問題でしょう。味噌汁の具は乾燥ワカメでちょっと期待外れ。そして酢の物はわけぎのぬた。非常に苦手な一品が登場して思わずたじろいだものの、ちゃんと最後まで食べられました。親に食べさせられていたあの味は何だったんでしょう……。で、肝腎のだし巻きなんですが、大根おろしを添える意味が良く分かりました(笑)。たった2切れとはいえ、2個分ぐらいの鶏卵を食べ続けるのはさすがに飽きます。
驚きは決してありませんが、値段相応のものを出していると思います。近辺で安く手軽に食べるならお勧めします。
ちなみに、店名について尋ねたところ、「昔ここの酒蔵で製造していた商品の名前が『古の花娘』だったんですよ。何でも『古の花』は梅のことらしくて……」という回答が返ってきました。『古今和歌集』仮名序の「難波津に咲くやこの花 冬ごもり 今を春べと咲くやこの花」という歌がルーツってことまでは御存知ないようです。
- とようけ茶屋
とようけ屋山本の飲食店兼売店。食事はランチタイム限定です。椎茸や油揚げと一緒に絹ごし豆腐を炊いた「とようけ丼」を注文したところ、突き出しに寄せ豆腐・野菜の和え物・黒豆のつまみ湯葉が出てきたのですが、このサイドメニューが予想に反してめっぽう美味。特に湯葉。はまりますよ。コストパフォーマンス良好です。あと丼の中の油揚げもお勧め。何のかんの言ってもとようけ屋の主力商品ですからね〜、巨大な油揚げ。油揚げの卵とじ(てことは木の葉丼ですね)「きぬかけ丼」も期待して良いのではないでしょうか。個人的には木綿豆腐の方がパンチが効いていて食べ応えがあるだけに、選べたら良いのにとか、「絹ごし豆腐のだし茶漬け」的な夏場向けの冷たい丼もあればありがたいかなと思います。
ただ、ここの店の難点を挙げるとすれば、客あしらいが下手なこと。京都って観光都市の割にはサービス回りが弱いなと感じることが多々あるのですが、御多分に漏れません。ピーク時もとっくに過ぎた頃でも店の外で立ったまま20〜30分待たされ、ようやく中に入ればぽつぽつと空席が。2〜4人程度の小さなテーブルを並べ、そこにグループ単位で座らせる、というスタイルを取っているので、必然的に空席が発生するのです。オーダーが通ってからは早いので、相席を前提に1つ大きなテーブルを入れたらもっと回転が良くなるはずです。15分間待つ価値はある店ですが、それ以上かかるとなると、待ちくたびれる前によそへ流れますねぇ(30分待ちは「めちゃくちゃ旨い店」に限ります)。
ここの行列は常態化しているようで、とある京都本にも指摘されていました。そこで予約が可能か問い合わせたところ、想像通り「不可」とのお答え。それは良いのですが、本当に要点のみの味も素っ気もないメールでした。「時間がある時にまたお越し下さい」とでも書き添えておけば次の布石になると思うんですけど……。まだまだのびしろがあるのに自ら殺している気がします。惜しい。
最近は整理券配付方式になりました。ただし、縁日の午前11時に行っても20数組待ち(!!)という状態で、ディズニーランドのように何時に戻れば大丈夫という保証もないので、10時に行って交代で人柱になるしかないと思います。オフシーズンなら週末でもまだマシなようです。
ただ、あえて言いますけど、そこまでしておかべ(=豆腐)食べたいですか? 観光客の皆様。分店でもできない限り、テイクアウト専門だと思った方が良いでしょうね。1時間も2時間も立って待てるなら話は別ですが、筆者は1時間で匙を投げました。
- ひだまり
東門から伸びる2本の道のうち、北側の道をまっすぐ行くと、やがて大報恩寺の前に着きます。そのもう少し先にあるのがこの店。町屋カフェって京都のトレンドでしょうが、中までそのまま転用しているのは驚きました。ちゃぶ台に座布団敷き、「おくどさん」が調理場……。なので膝が悪い人には不向きです。「ギャラリーカフェ」と銘打ってはいるものの、作家物は少なめ。
ドリンクとデザートで予算1000円の店ながら、唯一の食事メニューがめっぽう美味なきのこカレー。500円也。白味噌入りのカレーを、たっぷりの胡麻を混ぜたご飯に掛け、上に花かつおをトッピングしています。「辛くないのはカレーじゃない!」と思う向きもあるでしょうが、だしが効いていて文句なしにうまいですよ。ご飯だけでもおいしいし。どうしても最後まで油物が続くとになるとつらいので、野菜不足を補う意味でサラダかスープ煮あたりがセットに付くことを希望します。ケーキまでセットになれば幸福この上なし。下手にとようけ茶屋の店先で待つくらいなら、ここまで歩いた方が早いですねぇ。
あまり大声で話さないのがこの店での流儀。そこらの喫茶店とは違い、非常に下品に見えます。また、床面積に比してわざと机を少なくしているので、後から来たお客さんに対しても、経営サイドからしても、あまり長居しない方が良心的でしょう。これからもぜひ頑張って欲しい店です。
- まさ活
天満宮の東向かい、御前通沿いにあります。鰻料理専門店だと思っていたので入ったことがなかったのですが、地元の左利きな方に教えて頂きました。日本海の海の幸を一匹さばいてカウンターでお酒と共に楽しむ店です。昼はちらし寿司・焼魚・刺身・煮魚などの定食(大半は890円)が出ます。あまり生魚は食べない筆者でも、素直に楽しませてもらいました。他にイカの煮つけや豆腐などがつきます。魚屋だけに野菜は少なめ。豆腐はとようけ屋製のようで、これも美味。
花関酒造(福岡市)の麦焼酎「天神さま」が何本かボトルキープされていたのがツボでした。
- 蔵
まさ活からさらに北に行ったところにある、文字通り土蔵を改装した店です。メニューは「北野そば(ラーメン)」「おばんざい定食」「蔵定食(おばんざい定食の味噌汁がミニサイズの北野そばに変わる)」「湯豆腐定食」の4種類のみ。12時に並んで20分待ちなので回転は早い方です。夫婦2組と相席したら、うち1組から「この建物、来る度に店が変わってるのよね〜」という不安を誘う一言が。ここ何年かは同じメニュー出してます、念のため。
おばんざい定食(850円)は大根おろしとぽん酢をかけた白身魚のフライ・きんぴらごぼう・揚げ茄子の煮浸し・だし巻卵・かぼちゃと里芋の煮物・ゆかりごはん・味噌汁・漬物。だし巻は家庭料理よりちょっと上のレベル(はっきり言って固め)。白身魚はOK。味噌汁も問題なし。煮物も平均点。ただきんぴらと茄子が塩辛い。きんぴらだけだと唐辛子かと思いますが、茄子の煮汁、何せ「醤油の入ったダシ」じゃなくて「ダシの入った醤油」でしたから……。北野そば(750円)は「あっさりしてるけどそこそこおいしい」らしいです。湯豆腐定食(1500円)は「高いけど(観光地の食事としては)まあこんなものでしょう」とのこと。総じていえば「値段相応、ただし人を連れてくるには向かない」と言ったところ。まずくはありませんが、おばんざいどころかお惣菜としても醤油使い過ぎなのが問題。会計の時に店員さんに耳打ちしたので、改善されたら良いのですが。
- 西陣鳥岩楼
天満宮から東へ1km先に戻った今出川浄福寺のバス停の北、五辻通沿いにあるので、徒歩で行くには厳しいかも。鶏の水炊きの店ですが、ランチタイムの親子丼でも有名です。のれんをくぐると、靴を脱いで2階へ案内されます。お膳並みに低い正方形のテーブルと座布団が並んでいます。大きな急須に入ったほうじ茶はセルフサービス。しばらく待つと、鶏のスープと親子丼がセットで出されますが、箸をつける前から「まずスープから飲んで下さい」と注文がつきます。冷めると劇的に味が落ちるからなんですが、少なからず興ざめ。一方の親子丼は、卵が適度に半熟で鶏肉も柔らかく、振りかけられた山椒の粉が見事にマッチしています。ブロイラーの胸肉を醤油と味醂に漬け込んでおくと似た味になるのは否定しませんが、しみじみと幸せに浸れます。庭の木を眺めながら、のんびりと味わう昼下がり。ただし一緒に出される市販品のたくわんは全然ダメ。レベルの違いが歴然としていて、普通の定食なら問題ない味でも、明らかにまずいと感じます。箸をつけない方がいいですね。
昼のサービスメニューだけに相席が原則。とは言え1人になったところに5人組を案内されると、騒々しいという以前に、あまりに居心地が悪くて余韻を楽しむ間もなくそそくさと席を立つしかありませんでした。そして階下に降りると、台所の手前に猫が数匹(!)。「ここ飲食店でしょ〜!」と叫びそうになる始末。
親子丼そのものは良いのですが、総合点はどうしても辛くなってしまいます。少なくとも1人で行ってはいけません(断言)。ちなみに、『関西ウォ−カー』か『関西一週間』で、読者をして「食後にお茶を飲みながら談笑していたら、すぐ『親子丼ぐらいで長居されたら迷惑』と言われた」と言わしめたのはここの店です。ならばサービスの水準は……?
- 西陣魚新
西陣郵便局の東、中筋浄福寺にある宮廷料理に源流を持つ有職料理の店。こんな店に通えるなら一流ですが、あいにくそんな力量はナイ(笑)。百貨店のイベントで老舗料亭の料理を並べた時に、身銭を切って食べてきました。これなら予約不要でお一人様OK、しかも予算は半額で済みますし(「最初はわざと安いモノを狙え」は経験則)。
汁椀は朱と金の市松模様。蓋をずらした途端、勢い良く立った香りに驚かされる。
蟹とワケギのぬたは古の花に負けてます(笑)。と言うか、蟹の扱いはもう一つですね。鮭の柚庵焼きは魚自体の油っこさが少々疲れます。鴨は普通かな。海老は柔らかいままにうまく火を通してありました。あと謎だったのが甘味の取り扱い。重箱の中に大粒の梅干しを完璧に塩抜きしてアルコールを飛ばした赤ワインのゼリーを掛けたもの(最初何か分からなくて恐る恐る箸をつけたら、柔らかくて微妙な甘さに調整されていた)とヨモギがしっかり香る麩饅頭(粘着力抜群で笹から外すのに一苦労)。別添えで杏仁豆腐のブルーベリー・ラズベリー・ストロベリー乗せ。……いや、確かに砂糖に頼り切っていなくて全部おいしいんですが、全体のバランスを考えた場合、甘いものはあくまで食後の口直しで、ここまで続けるのはどうかと。メニュー作った人はきっと和菓子好きに違いない(笑)。
もちろん大ハズレはありませんでしたが、奮発してまで本店で食べたいかと言うと、話は別ですね。定価は5000円を軽く越えますから、必ずしも安打が続かないのは厳しいと思います。
- 萬重
ここも西陣にある料亭……なんですが、推したいのは本店ではなくポルタ(地下街)の支店の方。遠方の人から「京都駅前で京都らしいものが食べたい」と言われたら、毎回ここを予約します。いや予約しなくても入れますが、座席と料理を確保するために。1000円前後の丼物・1500円前後の定食・2000円台のコースのみ。店頭の見本で話が終わるくらい、メニューの種類は多くありません(全10種類+単品が数品)。基本は椅子席なんですが、なぜか「座敷席もあります」と言われたので試してみると、椅子席なのになぜか「靴を脱いで上がって下さい」との声が。何ゆえ? と思えば、床が畳になってました(笑)。まさに居酒屋。この席だけ椅子が2人掛けになっているので、荷物を置くにも便利。今度も座敷席を指定しようっと。
2050円と1550円(イベント中だったので実質的には1450円のメニュー+刺身だった)のメニューを食べましたが、料亭としては値段の割にそこそこ納得できる味。料理が出るのも早いです(これは予想外)。お澄ましとか土瓶蒸しとかマグロの角煮とか美味ですねぇ。刺身はちゃんと氷を敷いています。天ぷらは衣の方が勝ってるかな〜。ちなみに値段の差は品数と箱使用の有無。1皿1品が2000円を超えると箱に色々盛り込んだ形に変わるのです。一度にまとめて出るので、食べている内に他の料理が冷めるのがアレなんですけど……。本音としては2000円台から料理を若干はしょったラインナップが欲しいくらい。
立地条件もさることながら、サービス回りもちゃんとしています。昼食時を外せば2人でも4人席に通されます(1人で行くと中央の2人席になるのであまりお勧めできませんが……)。直接予約入れたら顔を覚えられてしまいます。あと、ちゃんと店員さんが「おこしやす」と挨拶してくれますよ(笑)。
(追記)久々に行って1450円のメニューを頼んだら、料理人が変わったのかと思うほどレベルが落ちていました。吸い物以外は最初から最後まで不発。天ぷらメインの料理にナスの天ぷらあんかけはないでしょう(笑)。小鉢(昆布の煮物?)はしょっぱいだけだったし。本店を狙う予定が保留になってしまいました。
- 小さなおもひで
田舎亭のもう少し先にあります。商品は大中小3サイズの「おもひで焼き」のみ。ネギ・キャベツ・天カス・豚肉を小麦粉の皮に乗せて焼き、二つ折りにしてソースを塗った、ミニサイズのお好み焼きです。小は100円というチープさながら、予想に反して美味でした。生地にしっかりダシを効かせてあるんですね。むやみに高い露店のお好み焼きを食べるくらいなら、こちらの方が断然お勧めです。小腹が空いた時にどうぞ。
- 大鳥居手前西側の露店のたこ焼き屋
縁日の時にだけ出る店で、新聞で知りました。店名はないみたいです。3人の中年女性がチームプレイで切り盛りしていました。客足が引いたのを見計らい、生地の味が分かるようにわざとソース少なめを注文して境内の絵馬堂へ。その下の休憩スペースへ持ち込みます。紅ショウガや葱を入れない、シンプルな商品を竹の舟に載せて新聞紙でくるんであり、雰囲気は最高です。味も悪くありません。確かにおもひで焼きや大阪の会津屋(マンガ『美味しんぼ』にまで登場するたこ焼き屋)には負けますが、露店でこれだけのものを提供できればコストパフォーマンスは充分でしょう。
それにしても、境内で物を食べるのって、ちょっと悪いことをしているような、しかし反面贅沢なことをしているような、そんな気分にさせられますね。
- 粟餅処澤屋
粟を蒸して搗いた餅一本で営業している北野土産の王道で、雑穀ブームの先駆け的存在。こし餡で包んだ円形3個にきな粉をまぶした棒状の2個が1人前で、薄い木箱に入っています。常連さんはタッパー持参(!)。店内で食べると煎茶がつきます。若夫婦が経営していますが、先代の奥さんらしきおばあちゃんが包装を担当してました。生涯現役ってイイですね〜。
さてお味ですが、口の中にほんのり薫る香ばしさが素朴(田舎臭くはない)で楽しいです。お勧めは香りと触感がより明確なきな粉。餡はちょっと水っぽいですね。オーダーを受けてから丸めるので、わざと「全部きな粉」でリクエストするのが筆者の定番(笑)。そういう変な注文も受け付けるんです。
時間が経つと固くなるので、賞味期限は当日。と言いますか、できた途端にリアルタイムで固くなってゆきます。あくまでも店内で食べるもので、本当はお土産向きではないのかも。残った1個を家族が翌日に食べてましたが、どの位固くなってたんでしょう……。
- 老松
夏みかんをくり抜き、寒天で固めた果汁を流し込んだ夏の看板商品「夏柑糖」。夏みかんの確保が難しいらしく、結構なお値段です。家族に試食させた際、「高いんだぞー、心して食べてね」とさんざん言ったのがまずかったのか、素直な感想は聞けなかったのですが、幼児には不評でした。一口で拒絶されました(泣)。夏みかん特有の苦味が子供には難しいようです。お茶うけに出てきたらカッコいいなあとは思います。商品名こそ異なりますが、お手頃な価格設定の缶詰版も出ました。
店員さんの振る舞いが老舗っぽくなかった(アルバイトレベル?)のが残念。当主がテレビに出ていた時、即座にアイディアを出していた姿に感じ入ったことがあるのですが。
それから、包装紙の上面に「老松の社は京都北野天満宮三光門庭前に在り、菅原道真愛松の霊が祀られて」云々と(なぜか「菅原道真公」ではなく)堂々と印刷してあり、かなり赤面モノです。今度進物に使う時は外のしにします……。メチャクチャ恥ずかしい。
- 長五郎餅
さっぱりした餡を入れた上品な大福といったところ。しつこくないので安心して食べられます。ただし何も考えず手でわしづかみにすると、一瞬にして手が粉まみれになります。紙で包むのが確実。「菅公」という名前の桃山の饅頭もありますよ。
- 京とうふ藤野
東京進出までしてノリにノってます。駅方面のバス停から少し西に行った所に飲食店の「TOFU CAFE FUJINO」がありますが、単価が高めなので未訪。食事ならまだしも、ケーキセットで1000円近く飛ぶのは痛い。ラインナップから判断するに、「カフェ」の割にあまりドリンクには力を入れていないみたいです。そのすぐ先にもお持ち帰り専門の店鋪があります。梅肉を埋め込んだ豆腐もありますけど、柚子入りや葛粉で固めたものの方が旨いと思います。ノーマルな豆腐は……、由緒正しい豆腐の味です(笑)。固い安物の木綿豆腐を愛用している(しかも最近は高野豆腐にはまっている)人間からすれば、ベクトルが違い過ぎてスーパーの店先(!)で見つけても食指が動かないんですよ。ひろうす(がんもどき)はそれなり。油揚げはとようけ屋より軽め。そのまま焼いて食べるには向きませんが、ヒジキの煮物を作り置きするとダシが絶妙に出てもってこい。唯一のテイクアウト商品、豆乳ソフトは発売当初に食べましたが、インパクトはさほどなかったような……。むしろ持ち帰り用の豆乳アイスの方を推します。ウサギグッズが充実してるので、お土産を物色するにはいいかも。
自家消費用なら、むしろ錦小路店「こんなもんじゃ」をお勧めします。スイーツ系が充実していることもありますが、こちらでしか扱っていない揚げたての豆乳ドーナツが最高なので。10個200円という値段設定を見る度、5個100円とかやってくれないかと切実に悩んでいます。
- ケーキ工房ZiZi
船屋秋月から今出川通を少し東に行ったところ(出町柳方面のバス停の少し先)にあります。価格設定は300円前後。
試食したのは294円のシブーストとミルクレープ。シブーストはカスタードを載せたタルトの上に大量の生クリームを載せ(「塗る」というレベルを明らかに超えてます)、さらにプリンを載せた背の高いケーキです。プリンのカラメルのほろ苦さ、プリンのこく深い味に濃厚な生クリームが合います。タルト生地はフォークでは切れない程に縁を厚くしてあり、何だかお得な気分。ミルクレープはスライスした果物をクレープ生地に挟んでいますが、やはり主役はクリーム。ここの生クリームの味を知ってしまうと、そこらのクレープや安物のパフェが食べられなくなります。ただ、百貨店で出張販売している時に買ったら、明らかに物足りない。他にも支店がありますが、店舗で味が違うのでしょうか?
(追記)2007年夏に閉店しました。どうやら倒産した可能性が……。今後、生クリームをワシワシ食べたくなったらどこに行けばいいんでしょう。
- MONICA
石鳥居を出て御前通をそのまま南下すると右手にあります。読者の方に「サイズが大きくておトク感がある」と推薦を受けていたので、とりあえず錦市場に程近い御幸町店(2007年秋閉店)に行きました。価格帯は400円台。420円の苺のショートケーキを購入。薄くスライスしたスポンジに生クリームと苺の薄切りを重ね、丸のままの苺を乗せ、ミルク風味の生クリーム・軽めのカスタードクリームで覆ったボンブケーキです。ん〜、結論を先に書けばZiZiの方が好みですかねー(ゴメン)。生クリームをちょっとなめただけで「文句なしにウマいっ!」と衝撃を受けたZiZiに比べれば、明らかにインパクトが弱い。どうしても苺は単価を押し上げてしまうんですが、値段相当かなという気持ちが先に立ってしまいました。期待したほど大きい訳でもなく、価格でも負けてますし(ということは、小さくてもっと高いグレース・セゾンは余程旨くないと勝負にならないってこと?)。
洋菓子屋にとってのコハダ(=店のレベルを計る物差し)、シュークリームは200円でおつりが来るので、そちらも試してみました。今度はちゃんと北野の本店で。皮が固めなパイシュータイプ、中身はカスタードでした。この位の軽さなら、市販のヘナヘナ皮のダブルシュークリームの方が好きかも。
(追記)現在は上述のZiZiの後に居抜きで入っています。値段が気になってお味の方はノーチェック。
- クリケット
天満宮前から立命館大学行きのバスに乗り、2つ先の衣笠校前で下車。天満宮の西北に位置する平野神社の門前(西大路通を挟んだ向こう)にある果物屋で、グレープフルーツやレモンを丸1個使った630円もするゼリーで有名。外観は見落とすほどしょぼい。喫茶店遣いも可能ですが、内装は輪を掛けてさらにしょぼい。椅子の座り心地はかなりいいです。
フルーツサンドをテイクアウト。840円也。ハーフサイズは630円。プラスチックの容器・保冷材・小さい手ふき・紙ナプキンを入れたケーキ箱を連れて天満宮までお散歩。
クリケットのフルーツサンド
さっそく絵馬堂でランチタイム。薄手のパンに生クリームとフルーツを挟み、一口サイズに12等分してあります。ゆるゆるに詰めるセオリーを無視し、容器の内側でおしくらまんじゅうを決め込むそいつを引っぱり出し、口へ。……具が分厚過ぎて立てると口に入らない(呆然)。横にして突っ込んだら、垂れたクリームが膝の上へ落下(動揺)。最初に行った時は無愛想な店員が保冷材しか入れてくれなかったので、あれは本当に参りました。
味は絶好調。ショートケーキのスポンジを徹底的に軽く薄くした感じです。生クリームを食べてる実感が得られます。作り置きの方がパンが柔らかくて食べやすいと思います。しかし思わぬところに伏兵が。ボリュームがあるという噂通り、半分を過ぎたあたりで小腹が満たされ、横に添えられたスイカと巨峰を含めて完食した暁にはもはや移動不能。30分ほど休憩するはめに。投資した分のリターンはありますが、2人で分け分けする軽食か、差し入れとして買うものかもしれません。
これがこのまま北野参拝のマイ定番になりそうでちょっと怖い。だんだんエリアから外れてってる気が……。
ただ、正直な話、西陣まで足を運ばなくても土産になりそうなものは京都市中の百貨店に結構並んでいるんです。気がついただけでも、老松やとようけ屋山本(豆腐・油揚げ・つまみ湯葉のみ)は大丸京都店(四条高倉=四条烏丸から少し東)の地階、船屋秋月の北野梅林と長五郎餅は高島屋京都店(四条河原町)の地階和菓子売場やポルタ(京都駅前の地下街)の京都土産エリア(老松も)、藤野は京都伊勢丹(京都駅ビル)の地下2階食品売場(ただし豆腐など生もののみ)、長五郎餅は週2回程度地下1階で扱っています。さすがにたこ焼きや粟餅はないでしょうが、これではお土産の意味が薄れるではありませんか、うぅ(泣)。
http://michiza.net/jtp/jtpkita.shtml