所在地:香川県
交通:高松琴平電鉄琴平線・滝宮駅下車
(傾向)知らない事の方が多いと思わされる一瞬。
(対策)常識にとらわれないのも一興。
岡山駅から快速マリンライナーで瀬戸内海を渡り、終点高松駅まで1時間。そこから琴平電鉄の高松築港駅へ乗り換え、1時間に2本しかない琴平行きの各駅停車でひたすら揺られて西へ戻ること40分で滝宮駅に着きます。
羽田から飛行機を使う場合は、高松駅まで行かずに途中の
琴電の1日乗車券は1200円と、高松築港駅からの往復運賃より少し高め。滝宮からは東の高松より西の琴平の方が近いので、琴平経由で岡山に戻ろうとすると、楽だったのは琴平での乗り換えだけで、「高松行き各駅停車に乗車」→「岡山行き各駅停車に乗り換え」→「岡山行き快速マリンライナーに乗り換え」と、到着時刻は同じでも、接続の度に列車を乗り換える非常に面倒な行程となりました(時刻表でも接続するのか見当がつかず、車掌さんに聞いた)。これなら少々運賃が高くとも、始発駅の高松から座った方が良いですね。
ちなみに瀬戸大橋から瀬戸内海が良く見えるのは、進行方向左側の席です。マリンライナーにはグリーン席と指定席もありますが、早く並べば自由席でも余裕で座れます。
「菅原道真は香川県に住んでいた」と書くと驚かれるでしょうが、事実です。元慶9(885)年から寛平2(890)年の初めまで、
坂出市の讃岐国府(県庁)から約4.5km離れたこの場所がその官舎跡だと言われていますが、実際には違うようです。「客舎の冬の夜」(『菅家文草』03:210)という詩によれば、道真が寝起きしていた建物の近くに開法寺という寺院がありました。しかしこの寺院、現在は礎石しか残っていませんが、国府近くにあったんです。
役所から随分離れた場所に知事公邸を移したものだと思っていましたが、やはり国府に住んでいたとみて間違いありません。「日の長きに苦しむ」(『菅家文草』04:292)で、終業後誰もいなくなった建物で時間を持て余す様子を描いたのも、国府内に居を構えていたからなんですね。つまりマリンライナーで通過した讃岐府中駅前に住んでいたというわけです。
讃岐府中と滝宮は、綾川と府中湖を通じてつながりますが、川辺の風景は道真が散策した頃の面影を残しているようです。
散在する山の近くに水田と民家がならぶのどかな田園風景が今でも広がっていますが、いくら丸っこいとは言え山は山。京都に比べれば一続きの平地が少ない。一面緑色の世界は、生粋の都会人にとって相当な田舎に見えたはずです。
(傾向)全国の念仏踊りのルーツともされる、実はスゴい祭り。
(対策)せっかくなので動画も撮ってみましょう。
毎年8月25日に奉納されるのが重要無形民俗文化財「滝宮念仏踊」。午前に隣の滝宮神社、午後に天満宮で行われます。
全11組が総勢で参加するのは5年に1度(次回は2013年)で、例年は3組のみで舞います。さらに3年に1度(寅年・巳年・申年・亥年:次回は2012年)、丸亀市より「坂本念仏踊」が参加します。
道真が讃岐守だった仁和4(888)年は旱魃の年で、道真は為政者として責任を感じ、
香川県は本当に雨が降らない土地で、ため池を至る所に作り、高知の
入場行進にあたるのが「
奴行列が先頭に立ち、境内でちょっとした芸を披露しますが、メインではないせいか、防府天満宮や古熊神社のものに比べると派手さがなくていささか見劣りします。
次に周囲に青い布を垂らし、上に造花を立てた菅笠をかぶった着物姿の子供とその親、白い着物に青い袴、縁に赤や青の紙を垂らした菅笠という出で立ちで「南無阿弥陀仏」と書かれた大きなのぼりを掲げた人、鎧兜に陣羽織姿の2人組、
奴行列 | 子供・幟・武者 | 悪魔払い |
奴行列の一団を除いて参道の周囲に円を描くように着席した後、薙刀コンビが悪魔払いの演舞を行い、いよいよ念仏踊りチームの登場です。
囃子方 | 太鼓持ちと鉦持ち | 大団扇を持つ舞人 |
ほら貝を吹き鳴らし、笛や小鼓を手に、金銀の縁飾りと造花をつけた菅笠と裃姿の3人組。
白い羽織に金襴模様の袴、同様の菅笠をかぶり、白い手甲をはめて鉦と鐘木を持つ2人組。
青い布を垂らして造花を立てた菅笠をかぶり、体の正面に太鼓を掲げた少年が1名。
金襴の陣羽織と袴、金一色の縁飾りと造花をつけた菅笠をかぶり、手には手甲、刀を差し、太陽と月を図案化した大団扇を持つ者が1名。
白い着物に青い袴で鉦と鐘木を持つその他大勢。縁の飾りの色で、赤は右手に、青は左手に分かれて立ちます。
裃姿の囃子方がマイクを手に「ナムアミドーヤ」と繰り返し、鉦を持った人々は鉦を鳴らしながら左右にステップを踏みます。その間、参道の中央では大団扇をひらめかせながら舞い踊ります。その踊りは、静かでありながら非常に派手なもので、地を伏し拝んだかと思えば片足を上げて飛び跳ね、円陣の中を大きく動き回ります。
地に伏し | 飛び跳ね | すれ違う |
次第にリズムが変わり、途中で白羽織と太鼓持ちも中央に前進し、最後は元の配置に戻って「ナーモデイ、ナーモデイ」の大合唱。こうして15分間の踊りを3組が1回ずつ奉納します。
全員が踊り終えた後は社殿に参拝するため、いったん中休みとなります。しかし暇を持て余した幼い少女が、赤い着物姿で鉦を手に中央へ出てきて、見よう見まねで無邪気にステップを踏んでいたので、カメラマンの格好の被写体になっていました。格好の間狂言に思わずなごむ夏の空。
参拝が終わると、全員参加の総踊り。3人がかりで境内を所狭しと跳び回る姿は圧巻です。
最後に「
炎天下の中、皆さん本当にお疲れさまでした。
(傾向)キワモノ路線を狙ったはずが、マトモな味で茫然自失。
(対策)百聞は一食にしかず。
天満宮から少し離れた、綾川沿いにあるのが「綾川町うどん会館」こと「道の駅滝宮」。
地元の農産物や土産物の揃う、ごく普通の道の駅かと思いきや、思いっきりパラダイスな食空間でありました。いちおう普通の商品もありますが、変わり種のラインナップはこんな感じ。
そしてここの名物が、「さぬきうどんアイス」3種類。
香川県版「るるぶ」や大阪毎日放送「魔法のレストラン」でも紹介されたようなので、結構有名みたいですね。
いずれもシングル200円、ワッフルコーンはプラス50円。最近50円ずつ値上げした模様。
最も濃厚な「超こってり」は予想外の売り切れ。そこで「純こってり」を購入しました。
お約束の記念撮影の後、どれくらい変な味なのかと期待してかぶりつく。
……ん? アレ? 普通に美味しいんですけど(困惑)。
お味は甘さ控えめのさっぱり系ミルクアイス。そこに時々ムニュっと白玉を思わせる食感のうどんがぶつ切りで入っています。アイス全体に対するうどんの分量は少なめ。もっと多くても全然大丈夫な位。
「ひょっとして味覚障害?」
「気をきかせて、それとも間違えて『さっぱり』を出されたのか?」
ワッフルコーンを噛みしだきながら、しばし真剣に悩む。
他にも「よもぎ餅」「すだち」のようなちょっとだけ色物要素のあるアイスや、イレギュラーメニューの「生醤油うどんアイス」「竹の子アイス」のようなキワモノ路線まで、色々販売されています。「超こってり」は「案外食べられる」「まずい」と評価が見事に分かれるそうですが、好奇心旺盛な方はお試しあれ。ただしハズレを引いても自己責任でいきましょう。
「うどんめし」と「うどんdeグラタン」も美味しいらしいので、次回はそのあたりを狙ってみましょうか。もちろん普通のうどんも食べられます。「道真御膳」(うどん・天ぷら・押し寿司・サラダ・煮物のフルセット)なんてのもありますよ。